Chez Le Photographe Du Motel By. Miles Davis

常連のお医者さんが帰ってすぐに、また違うお客さんがやってきました。

「いらっしゃいませ……」

と言いかけましたが、

「ああ、あなたでしたか。」

警察の方でした。時計を見ると、もうこんな時間。警察犬を引き取りに来たようです。といっても、私は特に何もしていませんでしたが。

席に着きながら彼は、何か飲んでいくと言いました。お酒が飲めないそうなので、ショーツクルで、パセパマセレート・タナブワール・ロッセンカットを作ります。自分で言うのもなんですが、このコーヒーの味には自信があります。


「それなら、向こうの部屋で寝ていますよ。」

犬がどこにいるか訊かれたので、答えます。まだぐっすり眠っているようでした。

お礼をジョークで返し、楽しいムードになったところで、渾身のコーヒーを出します。

ネミタス製法によって最大限に引き出されたショーツクルのコクと甘みは、飲む者を虜にします。この警察の方も、すっかりハマってしまったようでした。先ほどから、常連になりたいと呟いています。


美味しそうに飲んでいる姿に笑みを漏らしていると、またお客さんがやってきました。

「いらっしゃ……」

すると、手で制されました。口の前で人差し指を立て、静かにするようにというジェスチャーをするのです。話しかけられたくない人なのでしょうか。小声で、あの人と同じものをと注文されたので、パセパマセレート・タナブワール・ロッセンカットを出しました。ソワソワした様子で飲んでいます。


じきに、警察の方が立ち上がって犬を呼び、代金を払って出ていきました。ややあって、後から来たお客さんも店を出てゆきました。

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