【Ⅱ】
部屋から全員が出て行ってすぐ、俺は病院から逃げた。どうやって?それはプロに質問する程の事ではない。
仕事をしなかった殺し屋を組織はどうするだろうか。1箇所に留まるのは危険だ。まあ、看護師と警察が鬱陶しかっただけだが。命の恩人である医者には感謝の手紙を置いてきた。もう2度と会うことはないだろう。
あてもなく街を彷徨う。日が落ちる。寒い。途中、服屋で1着失敬してきたものの、中は入院患者用の薄い服だ。どこかに入ろう。そう思っていたら、心地よい酒の匂いがしてきた。バーか。ここでいいか。入ろうとすると、出てきた人に肩をぶつけた。
入ると、暖かかった。木と酒の匂いがする。隠れ家的とはまさにこの事だな、と思った。
「いらっしゃいませ。」
バーテンダーの少し皺がれた低い声は、その生きた歳月を示していた。
「そうだな。さっきの人が飲んでいたものでも貰おうか。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます