Police Dog Blues By.Blind Blake
ゆるゆると、モップがけをします。もう日は落ち始めていましたが、まだお客さんは来ませんでした。今日は誰も来ない日かな、と思っていると、ドアが開く音がしました。
「いらっしゃいませ。ご注文は……」
そこまで言いかけると、今日初めてのお客さんに止められました。
「すいません、違うんです。」
警察の方が、警察犬を一時的に預かってほしいとのことでした。
「そうですか。かまいませんよ。」
こういうことはよくありました。お客さんかと思えば、町内会費の取り立てであったり、犬がうるさいとの苦情が来たりするのです。
「賢い犬で、迷惑はおかけしませんので。」
「ええ、犬の扱いには慣れていますから、安心しておでかけなさってください。」
毎朝犬の相手をしている身からすると、1匹預かるくらい大したことありません。
白のラブラトール・レトリーバーでした。
よく集まってくる犬の中にもこの犬種はいましたが、これほど美しい毛並みのはいません。さすがは警察犬といったところでしょうか。
先ほどの警察の方が、ミルク代を払っていったので犬にあげると、ぴちゃぴちゃと飲んでいました。
犬が想像以上に大人しいので、しばらく放っておくと、いつの間にかショーツクルの倉庫に入っていました。通気性を気にしてドアを開けていたせいでしょう。楽しげな様子を見て、あまり強く注意はできませんでしたが、軽くたしなめると、縦に首を振って理解したことを示すようにしていました。警察の訓練には目を見張るものがあります。
倉庫の中で寝てしまっていたので、そっとしておくことにしました。店をそんなに明るくしていないのと、倉庫がとても暗いために、万一お客さんが来ても分からないと思ったからです。
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