再び魔法体験

テクテクと街を歩く。隣には美少女。

傍から見ればデートだろうが俺はそんな気持ちで歩いていなかった。

不意に幼女のセリフが頭をよぎる。こんなことで悩むなんてバカもいいとこだろう。なんたって俺が悩んでる理由は「なぜチャンスがあったのに童貞を卒業しなかったのか」だ。

勿論ただ俺が焦ったから押し返しただけかもしれない。だが...何か引っかかるのだ。


「どこ行きますか?蒼河さん!」

「え...あ...そ...そうだなぁ。」


不意にかけられた言葉に焦る俺。おそらく考え事をしていたせいだろう。こんなことを気づかれたら俺の社会的地位は大崩落する。俺は気を切り替えこのお出かけを楽しむことにした。


「お、じゃああそこでも行くか」


俺が指を指したのは露店。と言ってもホットドックのようなものしか売っていないが...ま、朝ごはんには丁度いいだろう。

俺らはそこまで行き、二つホッとドックを買った。


「蒼河さん。おいしいですねー!」

「あぁ。」


二人でベンチで座りホットドックを頬張る。その姿はやはり傍から見たらデートだろうか。そう意識すると顔が赤くなっていくのを感じた。やばい。恥ずかしい。

俺は流石にバレては不味いだろうと視線を逸らした。


「あ、蒼河さん。ケチャップついてますよ」

「え...お...おう」


ルーナが顔を近づける。その際胸が当たりどぎまぎした。

呼吸が耳元で聞こえる。ルーナは俺のほっぺについたケチャップを指で取ると口の中に指をくわえた。


「もー。蒼河さんってこういう時に子供っぽいですよねー」

「ははは...そうだ―な」


ルーナの顔が離れていく。瞬間。またルーナに拘束されたときのような感じが俺を襲う。

そう。魔法の感じだ。しかし今、ルーナが魔法を使ったとは考えにくい。それに俺は今拘束すらされていない。...やはり。何かありそうだ。


「それじゃあ次の場所に行きましょうか...そうですね...次は...服屋なんかどうです?」

「あぁ。それじゃあ―行こうか」


そう言って俺はベンチを立つ。この違和感の正体は一体何だろうか...そう思いながら俺は服屋に向かった。

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