ギルドでの出会い
「すいません。ギルドってどこですか?」
「ん?ギルドかい?そこの角を曲がってすぐだよ」
「ありがとうございます」
道行く人にギルドの道を聞いて進んでいく。当初自力で探そうと思ったのだが思った以上に城下町が広かった。流石王都...舐めてたぜ...
しかし、異世界初めての街で初めて見るものばかりだったせいか疲れは感じなかった。ちなみに街の建物は石レンガを材料とした建物が多い。見てて本当に飽きない統一感だ。
教えてもらった角を曲がり、ひときわ賑わっている建物の中に入る。やはり、ここがギルドらしい。
そしてカウンターの近くに行き、ポケットから渡された紙を取り出す。が、ここで問題発生。
王様のところでじっくり見なかったから気づかなかったが、大変なことに文字が読めないのだ。
これじゃあ何をしろと言われても出来るわけがない。さて、どうしたものか。
そうカウンターの前で悩んでいると、不意に声を掛けられた。
「あ...あのぉ~」
「ん?誰?」
気だるげに振り向くと、そこには見覚えのある少女が立っていた。そう。獣たちと闘っているときに助けた少女だ。
戦闘時とは違い白いワンピースを着ている。髪の毛にかかっていた灰は落ちていて綺麗な白い髪の毛が揺れた。
「やっぱり...あの時助けてくれた人ですよね?」
「お...おう。そうだけど、一体どうしたんだ?」
声を掛けられた意味が分からず首を傾げる。何やらしどろもどろしてるけど、どうしたんだ?
「え...いや。そのですね。も...もう一度...お礼を言いたくて...っ!」
「あ、そのこと?別にいいのに。まぁ無事でよかったね」
「はい...!」
笑顔で返事をする少女。可愛いな。っておい。何考えてんだ俺。
そう自分に自分でツッコンでいると申し訳なさそうに口を開いた。
「あの...名前聞いてもいいですか?」
「ん?あぁ、俺は雨月 蒼河だよ。あ、蒼河が名前ね」
「わ...私はルーナ・ミカルナです!」
赤面しながら自己紹介をする。別にそんな恥ずかしがることじゃ無くないか?ま、いいか。人それぞれだしな。ルーナはたまたまそうだっただけなのだろう。いまだに赤面している。
「あ、そうだ。ルーナはどこに住んでるんだ?親とかと一緒に?」
「あ、いえ...親は冒険に行ったっきり帰ってこず...今は宿屋で暮らしてます」
「あ、そうか...嫌なこと聞いてしまったみたいだな?」
「え!別にそんな!」
話題をそらすために聞いたのだが嫌なこと聞いちゃったみたいだな。一人暮らしか...あ、そうだ。いいこと思い付いた。
「ルーナ。ちょっと来てくれないか?」
「あ、はい。わかりました」
すんなりとついてきてくれたルーナを引き連れてカウンターまで行く。そして、例のあの紙を出した。
「すいません。王国金貨二百枚引き出したいんですけど」
「はい。わかりました。ギルドの登録はお済ですか?
「いいえ。まだです」
「そうですか。では、この書類に必要事項を書いてください」
渡された書類を見つめて、ため息を吐く。やっぱり読めねえ...勉強しなきゃな...
「ごめん。ルーナ。代筆してくれないか?俺、字かけなくてさ...」
「別にいいですけど...」
本格的にやばいと焦っていながらも、ルーナに代筆してもらう。どうやら簡単な質問だけだったらしく、いくつかルーナに聞かれるだけで済んだ。
すると、書類が光り輝いて、カードに代わっていた。
「はい。登録が完了しました。これで、依頼の受注、銀行の使用、ギルド運営のサービスなどを使えます。また、冒険者としてじゃなく、宿屋の主人などになる際も、ギルドが全面的にサポートします」
ふーん。これでギルドの機関が使用できるんだ。なくさないようにしなきゃな...そう思いポケットに入れる。あとでサイフとか作ればいいよね。
そう思っていると奥からすごい袋を持った人がこっちに歩いてきた。
「はい。これ一つで王国金貨百枚。二つ合わせて二百枚です」
「はい。わかりました」
そう言い袋を持ってルーナの元へ行く。あれ、なんかルーナ震えてない?気のせいかな?
そう訝し気な目線を向けていると震えた口をパクパクと動かした。
「ぁ...王国金貨...二...二百枚...」
「ん?あぁこれ?残り四万何枚あるから百枚あげるよ。一人暮らしで大変だろうから」
「えぇ!!!???」
当たり前のように口に出す俺に驚きの声を上げるルーナ。そんな大金なのかな?後でレートも調べなきゃ。
ずっしりとした袋をルーナに渡す。すごい感激の目で眺めていたがレートが分からないので全く分からない。
しかし、もう一つ頼まなきゃ行けないことがあるからな。それをちゃんと果たしてもらわないと。
「ルーナが泊まってる宿屋に案内してくれない?」
そう。寝泊りするところの確保だ!流石に野宿はきついからな。ちゃんと場所を調べなきゃいけない。
するとその程度のことですかと言わんばかりに「いいですよ!」と言ってくれた。ありがたい。
そうしてギルドを出て、宿屋に向かった。
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