王宮にて

「さぁ!ここが王宮だ!」

「はぁ...」


連れてこられたのは、巨大な城の中のホール。あの後、何事もなく王都まで行き、城に入った。

ちなみに、王都に王様の馬車で入ると目立つため裏口を通って入ったしまったので王都の様子は見れなかった。


「なんだ...反応が薄いのぅ...」

「そ...そうですか?」


反射的に薄い反応をしたことを後悔する俺。敬語一応使わないとダメだよね?そう思っていたのだが...


「む?敬語はいらんぞ?」


あっさりと切り捨てられた。え。何。人の前じゃあんなに偉そうにしてたじゃん。

そう不思議そうな目を向けていると、王様は恥ずかしそうに話し始めた。


「いや...なんと言うかな...あんまり...こう...尊敬されるのはいいんじゃが...畏怖の眼で見られるのが嫌での...ま、そう言うわけじゃ」

「あ...まぁ。わかりま...分かった」


ま、王様もいろいろあるんだろ。こっちもそれにノってあげよう。


「それで、褒美じゃが。まず一つ目は大金じゃ。ずばり、王国金貨五百枚じゃ!」

「はぁ...」


五百枚と言われてもレートが分からないから反応に困るな...大金なんだろうけど王国金貨ってなんだ?

そうすると、ジト目で王様が睨みつけてることに気づいた。


「む...驚かないんじゃな...なら五千枚!」

「はぁ...」


いや、増やされても困る。何回も言うが僕はレートが分からないんだ。

そうすると、ジト目のジトーっとした感じがさらに増し、僕を睨みつけてくる。


「くっ...こうなりゃ自棄だ!王国金貨五万枚くれてやる!」

「はぁ...」


だからレートが分からないんだって!流石に「異世界から来たからレートがわかりません」って言うわけにもいかないから言わないけどさ!

すると、さらに王国金貨とやらを増やしそうな目になって睨みつけて来た。あ、これは喜ばないとダメなのか。しゃーない。


「ワ...ワーイ。オウコクキンカゴマンマイダー!ウレシイナー!」

「そ...そうか!なら良かった!」


棒読みで喜んでしまったのでしまったと思うが何とかバレずに済んだようだ。もっと演技がうまければな...ま、出来ないことを出来ないと言っても仕方ないのだが。

その後、王様がしばらく席を立ち、数分後に戻ってきた。何やら紙を二つ持っている。


「これはギルドから王国金貨五万枚降ろせる紙だ。そしてこっちは...まぁこれはもう少しお主が成果を上げてからにしようかの」

「う...うん。ありがと」


ひとまず王国金貨五万枚を貰える紙を貰う。もう一枚は何だよもう。気になるなぁ。

ひとまずポケットに紙を畳んでしまう。落とさないようにしないとな。一応、こっちのお金持ってないわけだし。

そんなことをしながら、しばしの間王様と談笑していると不意に時計がリリリリリと鳴った。


「む、そろそろ時間じゃな」

「そっか。じゃあね」

「うむ。気軽に来て大丈夫じゃぞ」

「うん。そうする」


軽く別れの挨拶を告げて、城を出る。

ん~この銃は案外使えるし、ホルスターでも作って持っておくかな。

そんなことを考えながらお金が下せるというギルドを目指していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る