獣たちの全滅
「ふ~。全滅させれたかな」
獣たちとの戦争中。トリガーを数時間引きまくった俺は、へなへなと腰を下ろし、地面に座っていた。
今まで気にしていなかったが、これ。リロードを気にしないで延々と打ち続けるようだ。多分精密な仕組みまで考えなかったからかな。ま、便利なのには変わりないし、よしとしよう。
「あんちゃん!あんたすげぇな!それ!なんて武器だ?」
しばらくたつとリーダ格らしき男が俺に近づいてきた。拳銃を不思議そうに見つている。もしかしてこっちの世界には拳銃ないのか?
「え~と...これ【拳銃】って言うんですけど...知りませんかね?」
「ケンジュウ...?聞いたことねぇな。何かを撃ってたがあれは魔法か?」
あー。やっぱりないみたいだな。まぁ拳銃であんな簡単に倒せるなら今回みたいに激戦にならないか。仕組みなんてよくわかってないし、テキトーに誤魔化すとしよう。
「えーまぁ。そんなところです」
「ほう...凄いな」
コロッと吐いた嘘に騙される。すみません。火薬で打つくらいしか仕組みがわかってないんです。
「あんちゃん。名前は?」
「あ、はい。俺は雨月蒼河。あなたは?」
「おう。俺の名前はライド・ローン。その名前の付け方珍しいな。雨月って名前か」
「あ、いや。雨月は苗字です。蒼河が名前」
「ほう。それはそれで珍しいな」
へぇーこっちの世界は日本みたいな名前の付け方は主流じゃないらしいな。ま、気にしない。気にしない。
しばらくすると、平原の向こうから馬に乗った高貴そうな男の人がやってきた。赤を基調としたマントを羽生い、王冠をつけている。まさに王様のような...王様!?
そして、ある程度こちらに近づくと馬から降りこちらに走ってきた。
「獣退治ご苦労だった!褒美を遣わすぞ!」
「「「「はっ...」」」」
ライドさんを含めた、周りの人全員が跪く。それに便乗して俺も跪いた。多分王様だろうな。こっちの世界にはそんな制度もあるのか。
しばらくすると、王様が辺りを見回し迫力のある声で問いかけた。
「この中で一番の戦績を上げたものを言え。その者に一番褒美を遣わそう」
まぁそりゃそうだよな。さて、誰が一番良い戦績を上げたのかな。そう思い周りにいる人を見る。すると、全員が俺に指を指してきた。
「そうか。では、お主は我の馬車に乗って王宮へ来るのだ」
「は...はぁ!?」
驚きのあまり声を荒らげる。いや。ちょっと待って。確かに俺が一番獣たちを殺したか...?
そう逡巡していると、付き人が来て俺を強制的に馬車にのせた。チラリとさっきまで居た場所を見てみるとライドさんが羨ましそうにこちらを見ていた。代わってくれぇぇぇ!!
そのまま王様は馬車を操り、戦場を後にする。どうやら残りの人は後から褒美が貰えるらしいな。
そのまま付き人がいる荷台に乗り、しばらく移動する。すると、幼女な神様のロリボイスが再び聞こえてきた。
『君!やったじゃん!これでそっちの生活に困らないよ!』
「...そういう問題か...?これ...」
王様の付き人に気づかれないくらい小さな声で幼女に話しかける。たぶんこの声は俺にしか聞こえてないからな。危ない奴だと思われたら大変だ。
『まぁまぁ。貰えるモンは貰っておこうよ!それで、初めて【物質生成】を使った感想はどう?』
「ん...あぁ。空気から物を作れる能力か。すごい良かったよ」
使い方も楽だったし、何より汎用性も高い。すごい良かったというのが、正直な感想だ。
すると、自信ありげに再びロリボイスが響いてきた。
『フフン!そうでしょ?しかもあれ、自分の想像通りに作れるからね。例えばさっき君が作った銃』
「お...おう?」
『君の想像が自分の思った場所に撃てるというのだったから、その銃。撃ちたいところに必ず当たる銃なんだよね。どんだけノーコントロールでも当たる銃...最高じゃない?』
まじか...そんな銃だったなんて...凄い命中力で撃ちまくれたのはそのお陰が。ありがたい。
つまり、【物質生成】は俺のイメージが作成した奴に直接作用するということだろう。だから俺の銃のイメージ通りに作れたというわけだ。我ながらこれを選んでよかった。
『ま。そういうわけだから。うまく活用してよね。あ、そろそろ時間みたい』
「ん?もう終わっちまうのか?」
『一応私。神様だからね?やることいっぱいあるの!何かあったらまた連絡するね!』
ま、そりゃそうか。神様だもんな。でも、また何か連絡してくれるのか。なんか贔屓されてるみたいな気持ちになるな。ま、いいんだったらいいか。
「それじゃ。またいつか」
「うん!またいつかね!」
そう言って頭に響いていたロリボイスがプツリと途切れる。さぁ、頑張って生き抜きますかね。
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