異世界転生

「ん...あ...あれ?もう異世界についたのか?」


目が覚めると、そこは。さわやかな平原。鳥の囀りが聞こえる、どこか田舎町を想像させる景色...であって欲しかった。

なんと、目が覚めた場所は血の匂いがする平原。そして!現在進行形で獣VS人の超激戦を繰り広げてる戦争地帯だったのだ!


「おう。あんちゃん!あんたも冒険者かい?早く戦いに参加してくれ!」

「はぁ!?」


ガクガク震えていると屈強なおじさんがこちらへ走ってきて武器を渡してきた。どうやら戦え...と言うことだろうか。

いや無理だから!てかあの神様!なんていうところに転生させてんだ!

イライラしながらなんとかやり過ごそうと息を潜める。すると、不意に頭に声が響いてきた。


「あはははー!ごめんね!どうやら転生させる場所を間違えちゃったみたい!」


ずいぶんと久しぶりに聞くような感じがするロリボイス。そう。ここへ転生させた張本人。自称全知全能の神様の声だ。

ていうか転生させる場所を間違えちゃったみたい!って軽く済む問題じゃねえよな!転生して三秒で死ぬかもしれない超危険地帯だぞ!?

そう強く心の中でツッコム。すると、それは相手にも伝わるようでロリボイスが再び頭の中に響いてきた。


「んー。しょうがないなぁ。ポケットの中に空気から物を作り出す能力の使用方法書いてあるから試してみればいいじゃん」

「ん、これか?」


ポケットをあさると、少し古そうな紙が出てきた。破けないようにそっと開けてみる。中にはこう書いてあった。


『一:作りたいものを頭の中で考えます

 二:作る素材を考えます

 三:作成!と心の中で叫びます』


なんじゃこりゃー!と頭で再び強く念じる。そうすると当たり前のようにロリボイスが返ってきた。


「ま、頑張って!その通りにやれば出来るから!」

「ふざけんなよ...」


頭で念じないでつい言葉に出してしまう。しかし、このままでは本当に死にかねない...しょうがない...やるしかない!

ひとまず銃を頭の中で考えてみる。次に鉄と頭で念じ、作成!と心の中で叫んでみた。

すると、手の中で光が溢れかえり光が収まると、黒光りした光沢のある拳銃が握られていた。


「お...おぉ...!」


ついそう呟く。これはいい能力な気がするぞ。楽に作れたし。慣れればもっと早く作れるかもしれないしな。

そう考えていると、獣が襲い掛かってきた。


「危ねぇ!」


握っていた拳銃のトリガーを引き、銃弾を数発打ち込む。すると、獣はスッと倒れこみ血を流して動かなくなった。

生物を殺したということに、幾ばくかの嫌悪感が過る。が、そんなことを気にしてる場合じゃない。仲間が死んだことにより、一斉に獣たちが襲い掛かってくる。

が、俺は冷静にトリガーを引いていき、一体一体確実に倒していく。

ここで、獣たちの動きが見えることに疑問を抱いたが、幼女の神様に身体能力の強化も頼んだのを思い出し、気にするのをやめた。

ズダダダダダダダダッ

自分の周囲の獣を全員打ち殺し、前線へと走っていく。その際周りの人が全員茫然としていたが気にしない。気にしない。

しばらく走り、最前線へ着いたくらいに、不意に叫び声が聞こえた。そちらへ顔を向けると、片腕を怪我した少女が獣たちに襲われていた。


「危ないっ!」


とっさに銃のトリガーを引き、少女の周りを取り囲んでいた獣たちを打ち殺す。トリガーを引く際に狙いが外れて少女に当たるんじゃないかと心配になったが杞憂だったようだ。


「大丈夫か?」


駆け足でその少女の近くへと行く。灰を被ったのか、黒い粉末が白色の長い髪の毛についている。む。腕からの血が酷いな。これは早めに治療しなければ。

ひとまず白い布を生成するため白い布を頭の中で浮かべる。素材は布...作成!

そう再び脳内で叫び、布を生成する。そしてその布を少女の傷口に結び一応止血する。


「これでよし。早めにちゃんとした治療を受けてね」

「あ...ありがとう...ございます...この恩はどこかで返させてもらいますね...」


そのお礼を聞いて俺は再び前線へと走った。獣たちを全滅させて自分の安全を確保しないとな。

そう思いながらトリガーをどんどん引いて行った。

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