幼女な神様に特殊能力を貰ったら予想以上にチートだった件について
さざなみ
プロローグ
「―ぇ...――ねぇ...――ねぇってば!」
霧がかかったようにモヤモヤする意識の中。とてつもない破壊力を秘めたロリボイスでたたき起こされる。
「んー...あ...れ...ここは...どこだ...?」
ボーっとあたりを見回す。が、思考が追いついてこずフラッとしてまた地面に倒れた。
「もー。しっかりしてよね!」
意識が薄れていく中、またロリボイスが聞こえる。刹那、意識が急に鮮明にクリアになり、寝ていた体を起こした。
「おー!やっと起きたね!こんにちは!雨月蒼河さん!」
「んー。あ、こんにちは。って!ここどこだよっ!」
ロリボイスで想像できる通りの幼女に軽く挨拶され、反射的にこっちも軽く挨拶を返すが、今ここが異常なまでにおかしな状況だということに気づき、声を荒らげる。
「んー。あ、そっか。君ここどこか分からないんだぁー。えーっとねぇ。ここは転生の間って言って人を転生させる場所だよ!」
「人を...転生...させる...?」
言ってることの意味が分からず聞き直す。それに目の前の幼女は少し唸り何かを思いついたかのようにこちらに顔を向ける。
「もしかして君ここに来る前のこと覚えてないの?思い出してごらん。記憶の断片を集めてさ」
「...?」
またもや言ってる意味が分からず首をかしげる。と、何やら杖を取り出しその杖から光を発させた。
途端にここに来る前の記憶が蘇る。
そうだ。俺、雨月蒼河は、車に引かれそうになった子供を助けるために道路に突っ込んで引かれたんだ...死ぬ直前に「青春真っ盛りだったのに...」って考えたっけな。
「その様子だと思い出せたみたいだね。よかったよかった。それでね。同じ世界に戻すことは出来ないけど、子供を助けて死んだって言う精神を尊重して、違う世界に転生させてあげようって話になったんだよー!」
幼女なのにやけに難しい単語を使うことに多少驚きを見せつつ、話を聞く。
「それで、君には異世界でも通用するような能力をつけて転生させてあげようと思うんだ。どうする?その話し合いの為にここに呼んだんだけど」
なぬ!?特技を自分で選べるのか!そりゃまたずいぶんとうれしいことだ。しかし、ここで変な能力つけて転生するのはあまりにも意味がないと思う。なら、異世界の知識をある程度手に入れておこう。
「なぁ。異世界ってどんなところだ?」
「んー?そうだなぁ。魔法とか、魔物とか。危険がいっぱいな世界だよー」
嘘だろ...今の状態で行ったら一瞬で死んでしまうじゃないか...あ、そうだ。こうしよう。
「よし。じゃあ単純な身体能力の強化と、空気からなんでも作れる能力。それと...そうだなぁ...魔法がなんでも使えるようにしてほしいかな」
多少贅沢しすぎな気もするがこれで許してくれるならこれにして欲しい。だってせっかく転生したのに死んじゃ嫌だし。
「うん。わかったよーそれじゃあもう用は済んだから転生させちゃうねー」
「いや、ちょっと待てよ!」
あまりにも急すぎる展開に少々困惑する。急すぎるって。
「えー。メンドクサイなぁ。何?ほかに。」
「えーと...その。お前の正体って何?」
転生とか、能力とか自由に決められるやつだ。一体何者?と思っていたので最後に聞いておく。
すると、幼女の答えはあまりにも突拍子がない答えだった。
「え?全知全能の神だけど」
「は?」
全知全能ってゼウス様?いや。幼女なんて聞いてないですけど。
その答えにしばらく唸り声をあげてると、不意にまた意識がぼやけてきた。
「あ。もう限界見たい。次目が覚めたときは異世界だから。覚悟していてね。それじゃ!」
ぼやける意識の中。ロリボイスが耳鳴りのように残り、意識が薄れていく。
異世界...どんなところだろ...そうまだ見ぬ異世界へ思いを馳せていると、不意に意識が深い闇へと消えてった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます