第12話【歴史と遊び】
そこまで見張りの厳重ではなさそうな南門付近の外壁と跳び越え本日は外でプレハブを設置する。
勿論結界をはる。この結界は【ハイド】の効果もあるとはいえ万が一高位の魔法使いに露見するともわからないため街が近いがゴーレムも展開する。
3分ほどで作業も終え部屋に入った。
本日はたいしたことはないとはいえ戦闘もしたため先に風呂に入ることにする。
実は風呂には拘った。シャワーなどは水属性魔具でばっちりだし、湯船もシッカリ自分が真横になっても大丈夫なサイズになっている。
服をアーシャに収納、一瞬で裸になり髪留めをとり風呂に入る。まぁ残念ながら石鹸の類はないため最終的には【クリーン】をするわけだが。
一通り身体を洗い湯船に入り今日一日を振り返った。
「ふぅ~、今日も無事終わったなぁ」
『爺くさい…ギャップ酷いですよ』
アーシャは実体化を解いているため本体のネックレスから声が聞こえた。
「流石に気を使うだろう?貴族だぞ貴族、こちとら民主主義の人権のシッカリした世界から来てんだぞ?今では人権もクソも鼻で笑うような時代に生きてんだ。
特権階級の貴族に目をつけられたくねぇっての」
『最終的には負けちゃいましたけどね。マスターは自由な身ですから多少果敢にいっても大丈夫ですよ。逃げればいいんですから』
「まぁな、俺たちだけなら何とでもなるような装備は整えてきたわけだしな。でもなんかあの子とはこれからも関わる気がするよ」
『それは向こうからですか?それともこちらから?やっぱ惚れました?』
「お前もシツコイね。惚れる云々の前に俺の予想なんだけどさ、セフィー俺のこと女だと思ってんじゃないの?別段聞かれなかったしスルーしてたけど」
『マスターは顔も体格も女性に近いですからねぇ。腰なんて少し丸くなってきてますよ!』
そう俺は骨格まで女性に近い、男性との中間点ほどだろうか?柔軟な筋肉のために必要な処理だったらしい。
男性体のほうが筋力が見込めるとも思うがはっきり言って強化で補える。馬鹿正直に筋力上げるよりは強化効率上げたほうがいいわけだ。
男性らしさなんて微塵もない、腕も足もツルツルだ。肌もシミ1つない真っ白、顔はどっちとも判断できるかも?いや、無理かなぁ。女だわ。
「口調だけは男だけどこれじゃあなぁ。粋がってるだけにしか見えないよな」
『容姿がいいほうが人生楽ですよ』
「ありがとよ」
風呂からでて本日は黒ジャージにする。さっさと飯を作り歴史の話に入りたい。
テキパキと用意し先日と同じステーキが完成、実体化したアーシャと食べながら調べたことについて話し合う。
「実際そんなに多くは分からなかった。昔のことは資料自体少ないらしい。結論からいうと1000年前世界大戦が起こった様だ。
そして文明が退化するほどのダメージをおった。今は復興し新しい歴史を築いてるわけだ」
『簡単に言いますねぇ、詳しい詳細はさっぱりですか』
「ああ、大戦の理由もその過程も結果もどうやって文明が後退することになったのかも不明。昔の名残といえば遺跡という名の廃墟から当時の魔具が発見されたり程度らしい」
『実際マスターの作成理由は戦争ですからね。研究者が急に退去したのもそれが原因かもしれませんね』
「十中八九それだと思うがね、今は新暦969年。少なくとも30年程は世界も混乱してたんだろうよ。歴史書すら作れんほどにな」
『そんな中で転生しなくて本当によかったですよマスター、転生までバレずに放置されたこと。研究所が持ったこと本当に運がいい』
「不幸中の幸いだな。あとは復興して新しく国が誕生して滅んで。またできての繰り返しだ。ここミリアネル王国も歴史的には150年ほどらしい」
『いつの時代でも世界でも変わらないです。平穏は次の戦争の準備期間ですから』
「実感はねぇなぁ、少なくともミリアネル王国は今の王になってから小競り合いはあっても戦争規模の戦いはないらしいぞ?群雄割拠みたいな時代じゃないだけラッキーさ」
『目的はあるんですか?ほら最強の力で成り上がる!とか』
ステーキの最後の一口を頬張りながら今後について考えて見た。…成り上がって貴族になって女でも侍らして美食の限りを尽くすとか?
「ないな…そんなものに興味は沸かない。第一俺は長命種だぞ?ここは人族主体の世襲君主制だぞ。そりゃ獣人とかエルフやドワーフもいるみたいだけどさ」
実際俺がこの国で上を目指すことはないだろう。ランクアップを目指すことはしても国に仕えたいとは思わない。
自分で言うのもあれだがパワーバランスが崩れる。俺は単体戦力で負けるつもりはない。事実100億の魔力もちで負ける事態が想像できない。
無論条件次第で苦戦はする。ランクSクラスが波のように最強装備で襲ってくるとか。大規模儀式級魔法での国を挙げた一撃だとか。
だがフットワークの高い俺にそんなものが効くかと言えば、無論効かない。逃げに徹すればいいだけの話だ。それこそ大切なものでもできない限り…。
「今は目的というか目標というかだけど、外壁の外で暮らす生活じゃなく中で拠点を得たいな。自由な土地があれば適当に張りぼてでも建ててプレハブ設置すりゃいいし」
『お金を稼いで拠点を作るんですね!腕が鳴ります!』
「実際適当に魔物狩り尽くせばあっさりなんとかなりそうだけどな。あと調味料と野菜をゲット」
『あと魔具ですね』
「そうそう、まぁ明日は朝も早い。さっさと寝ようか」
朝食をレーションで済まし用意を終わらせ金稼ぎのために魔物狩りを慣行しようと思う。
向かう所はあの大森林の中、何時も通り空を走ってかっとばしていく。【天駆】の連発は魔力制御の練習にもなるので一石二鳥だ。
たまに【サーチ】を最大出力でとばし獲物を探っていた。
「動物らしきものはいるし雑魚魔物の反応はあるけど大物はいないなぁ。もっと浅瀬にはいないのかねぇ」
『反応有り!1キロ先に複数生命反応捕らえました。如何いたしますか?』
「そりゃいくさ!」
更に力を込め反応のある方向に跳んでいく。
加速した思考の中で戦場を見渡した。ちょうど開けたゴブリンの集落があったようだ。そこに襲撃があったみたいだ。
ゴブリン多数と戦うデカイ鳥みたいな化け物”ガルーダ”だ。ランクでいえばワイバーンと同じCランク。
風の
俺はリベリオンとヴェンデッタを取り出しそのままガルーダに向け発砲、連射し6発叩き込んでやった。
ワイバーンと似たような3mほどの体にすべて直撃しそのまま倒れこんだ。
頭にも叩き込んでやったので即死のようだった。そのままゴブリン共も殲滅すべく【ロックオン】を行ない【フォトンブレイド】を中空に多重起動し発射。
20の【フォトンブレイド】はホーミングしながら驚いてこちらを振り向いた所を強襲、一撃で頭部を貫き絶命させた。
その足でゴブリンの集落に【疾駆】で向かい残りのゴブリンを殲滅に向かう。
「意外と多いんですけどー」
まばらにいるため処理が面倒くさい。見敵必殺で二挺拳銃を撃って撃って撃つ。
いっそ中規模殲滅で集落ごと消し飛ばしてやりたいが魔石が回収できなくなるためそれもできない。
半ば作業になりながらも近寄らせる気はないかった。その瞬間に左から直径50cmもある炎弾が飛んできた。
『プロテクション』
「さんきゅー」
『油断しすぎですマスター。再カリキュラムですよ?』
「マジ勘弁」
多分ゴブリンシャーマンってやつだ、粗末なコシミノのに身長を超えた杖なんて持っている。
再度炎弾を放ってくる気か魔方陣を展開してくる、が遅い。リベリオンで銃撃し頭部を打ち抜いた。
「あっさり終わったなぁ、30分も掛かってないんじゃないか?」
『マスターマジ鬼畜でしたから、即ガルーダを処理するなんて酷すぎですよ』
「一番厄介なのがこっち気づいてなかったんだぞ?そりゃヤルでしょ」
「さっきの点数は?」
『50点ですね、油断しなかったら100点でした』
「すみません」
会話しながらガルーダの死体へ向かう、心臓部あたりにある魔石の反応を捕らえ抉り出す。解体は面倒なので後だアーシャに収納する。
結局100体近くいたゴブリン共の魔石も回収しなければいけない。気が滅入る。
『【フォース】』
アーシャが実体化そのまま魔法を発動させゴブリンから魔石を抉り出しこちらに渡した。
「なんだそりゃ?」
『念力ですよー、手で回収してたんじゃ面倒ですから。魔石を抉るには死体じゃないと無理ですけど便利でしょう?』
「そりゃ便利だ、俺もそうしようっと」
術式は既にみた、無属性で簡易な術式なので模倣は易い。そのままゴブリンの魔石をどんどん回収していった。
「ゴブリンね、人型のやつを殺すのは初めてだけど。ワイバーン殺すのと対して変わらんな。単純に血とかが気持ち悪いだけだわ」
集落をフラフラ見ながらぼやいた。
『戦争目的ですからねぇ、製作過程で手が入ってるんじゃないですか?』
「こわっ、身体の製作過程まではインストールされてないから余計気になるわ!」
『私もマスターが健康体というのはわかるんですが製作までは関わってませんし』
「だよねー。悩むのも馬鹿らしいしどうでもいいけどねー」
実際調べようがない、精神耐性あるのは便利だしかまわない部分だ。人は…どうだかね?殺してみないとわからんけど。できればそうならないようにしたいものだ。
人を殺しすぎて修羅の道に入る…世界がヤバイって話だ。
「にしてもなんもないのな。石の武器?人間には必要ないね」
『集落はどうします?一様消しとばしておきますか?』
「ゴブリン共は素材になんねぇしなぁ、死体処理もついでだ消し飛ばす!」
一気に上空にジャンプ、障壁を足場にして周囲に直径2mほどの魔方陣を4枚展開した。
森林を燃やすわけにもいかないため今回も【バニシングレイ】に活躍してもらう。
ちなみにこれは銃じゃないと撃てない訳ではない。銃を媒介にしたほうが発動速度が段違いになるだけだ。
真紅の魔力が陣に溜まり何時でも発射できるようにする。そして集落に向け発射した。
ドゴーン!!
すさまじい轟音が辺りに響き渡る、集落は跡形もなく消し飛んでいた。
「我ながら素晴らしい威力だ、貫通性を高めず収束性を甘くしただけあって上手くいったな」
『全部で100万も魔力使ったんです。これくらい当然ですよ』
「帰るか」
『イエス、マスター』
あの後すぐに反転し街に向かった。街に入ろうとした時に過ちに気がついた。
「俺今日門からでてねぇや…やべぇ。素材販売できないじゃん」
『あー、ですねぇ。今日はもうプレハブに引きこもってます?』
それはイヤだ、まだ昼時だぞ。飯だって食ってねぇし嗜好品なんてないんだ暇で仕方がない。
「よし!調味料を探そう。食材もできる限り買っとこうぜ」
『大賛成です!』
そう決め人目のないところで【ハイド】で街に侵入した。
現在商店街だ、まさに映画の中って雰囲気に興奮してます。完全におのぼりさんです。
アーシャもはしゃいでいるのか俺の周りをブンブン飛んでいる叩き落としたい。
『今、不穏な気配がしましたよ?』
「気のせいだ」
沢山の果実や野菜などを販売している八百屋で色々購入する。完全に見た目がリンゴ、いやリンゴですね。だったり特に野菜系を購入した。
全部で銀貨2枚と銅貨5枚、これで大体貨幣価値がわかった。多分銀貨で1000円、銅貨で100円程度だ。金貨は10000円ぐらい?
宿屋一泊2000円とは良心的だ。1階部分の料亭がもしかしたらメインなのかもしれない。
それと主食を買わなければ、どうやら米はないらしい。パン主体なのは多少残念だが仕方がない。
パンも5斤ほどまとめて買った。主食らしく1斤銅貨3枚ほどとかなり安い、どうやら食パンらしい。イースト菌とかはすでに存在するようだ。
固いパンだったら自分でなんとかすることも考えていたし。
全部アーシャに収納する。すでにディメンションがあると知った今隠す必要もない。ちなみにアーシャのディメンションは時間停止状態になっている。
基本生物は収納できないらしい。微生物はどかどうなってるんだろう?そこまでは知らない。
調味料もすでに購入済みだ。砂糖・塩・胡椒・酢・ソースなどをゲットした。ただし高かった…全部で銀貨5枚した。
塩・胡椒は持っていたが多く持って損はない。
露天なども多くあり美味そうな匂いもこちらに漂っている。
『マスター!あれ食べましょう?お昼もう大分過ぎてますし今ならすぐ食べられますよ!』
「ん?こりゃピザか?おおう…美味そうだ。すみませんこれください」
店員のおっちゃんに注文を頼む。
「まいどあり!譲ちゃん何枚ほしい?」
「んーじゃあ3枚でお願いするよ。あと俺男ね」
「なに言ってんだよ譲ちゃん、冗談になってないぜ!ほら3枚で銅貨9枚のところ8枚にまけてやろう!」
「ありがと」『ありがとうございます!』
礼を言って商品を持ってその場を離れた。
探検時に発見した自然公園のベンチに腰をかけさっき購入したピザを取り出した。
『性別否定をガンスルーでしたねー』
「そんなもんだ、ムキに否定するのももう面倒だよ」
ピザを一切れ食べる、チーズたっぷりで凄くうまい。半年ぶりほどなのに感動してしまう。
『おいひーですー』
「だなー」
のほほんとしてしまう、今までどう生活してくかで一杯だった心が潤っていくようだった。
公園では子供がハシャギ回っている。身長的には俺より少し小さい程度なので子供といっても自分が滑稽だ。
他からすれば俺も子供なのだから。あー楽しそうだ、正直ボールでも練成して仲間に入れて貰いたくなってくる。
よし!ここは恥なんて俺の容姿なら関係ない!すぐさま布やら素材をとりだしッパとボールを練成した。
ピザを口に詰め込み一気に飲み干した。
「そこの少年達!これであそぼーぜー!」
「え?なに?なに?」「あの球なんだろう?」「なんだ女かよー」「いいよ、あそぼーぜ!」
4人ほどで追いかけっこしてた男子3人女子1人に声をかけ遊びに誘った。
「いいのか!ありがと!これか?これはボールっていって柔らかいし跳ねるから色々遊べるんだぞ!」
『私もいますよー、仲間はずれはイヤです!』
リーダらしい男の子がこちらに声をかけた。
「どうやって遊ぶんだ?」
「そうだな、6人いるし中当てとかどうだ!四角いコート作ってボール当てたら外野にいくんだ。外野は2人で他は中、全滅したら終了だ」
「おもしろそう!」
「やってみようよ」
「おっしゃあ!んじゃ適当にコート作るわ」
正直楽しい。小学生以来だ。もうすこし人数いればドッチボールでもよかったな、あと2人ほしいぜ。
こいつら手加減がまったくないなー、しかも微弱だけど強化してね?やたらと強い。こっちもムキになりながら遊んでいた。
「おらっしゃー!」「あぶね!」「おしいっ!」『わ、マスターこっちに来ましたよ【フォース】!』「魔法はずるくね!?」
「あれ?シオンさん?」
夢中になって遊んでいるとこちらに声をかけてきた美女がいた。後ろには剣を携えた執事もいる。どうやら散歩していたようだ。
「え?セフィー?っぐあ」
「シオンさーん!」
顔面ヒットした、ここに顔面セーフなんてルールは存在しない。慈悲もなくアウトになった。
「痛いし」
「大丈夫ですか?」
セフィーがこちらにきて水に濡れたハンカチで顔を拭ってくれた。クラレンスさんもこちらを心配そうに見てくる。
「大丈夫、咄嗟に後ろに跳ばなかったら死んでいたぜ」
「ふふ、流石に大げさですよ」
「いやいやあいつ等手加減って言葉知らないよ本当、油断すると吹っ飛びそうになる」
「羨ましいです、こんな遊びがあったんですね。私もしたいです…」
ニコニコしながら羨ましそうにセフィーがこちらを見ていた。
「いけませんよセフィリア様、危ないです」
「みんな遊んでるじゃない?危なくはないでしょう?」
いやーどうだろうな、何気に強化してボールがビュンビュン翔んでるし。俺みたいに顔に当たったらヤバイかも。
「うーん、ボールは柔らかいけどなぁ。あの勢いだし」
「やってみたいです!」
セフィーが大声で言った。子供たちがそれを聞いていたようでこちらに来る。
「おねぇちゃんも仲間に入りたいの?」「いいよ!」「一杯いるほうが楽しいし!」「みんなでやろーよ!」『ですです!』
「みんな…仲間にいれてくれるの?」
「「「「「『うん!』」」」」」
「だとさ」
「ローレンス家のご令嬢がこんなことを…」
クラレンスさんは微妙そうに項垂れていた。
人数も増えたしドッチボールをやることにする。ルールを説明しチーム分けでクラレンスさんがセフィーとのチームを強行した一面もあったが割愛。
アーシャ・俺・リーダ少年・少年1VSセフィー・クラレンス・少女1・少年2に別れ始まった。
チーム分けおかしいだろごらぁ!とも思ったがアーシャは魔法使用許可なので仕方がない。
ジャンプボールはクラレンスさんとアーシャ、身長差というか縮尺差が甚だおかしい組み合わせだが俺は確信しているアーシャが勝つと!!
「これは…卑怯ではありませんか?」
『私に勝てるかな?』
スタート!
ボールをなげクラレンスが跳躍する、アーシャは弾丸のように飛翔した。
バシン!
なんとジャンプボールはこちらが勝った(ゲス顔)
直ぐにボールを奪取、セフィーにむかって全力で投球した。
「っふ、そんなの私には効かないわ。おとといきなさい!」
なんとドヤ顔でキャッチ、なにキャラだよ…
「私たちの戦いはこれからよ!」
一進一退の戦いだった、意外とセフィーは運動神経がいい。いちいちクラレンスさんが守る必要がない程度には順応していた。
地味にセフィーも強化してやがるのがズルイ。あんなことしてるのにクラレンスさんは強化なんてまったくしてないのに。
捕って当たっての繰り返し、なかなか終わらない一戦だったがついに俺とクラレンスさんだけになった。
「やりますね、初めて会った時から只者ではないと思ってましたがこれほどとは!」
「そちらこそ執事服なんて動きにくい格好でよく動きますね。流石です」
強化こそ互いにしていないが地味に歩法やら体裁きが戦闘的だ。
チェンジオブペースでタイミングをずらしたり、バレーのように打ち上げてから捕球したりとどこかおかしいドッチボールを繰り広げた。
「そろそろ決着をつけないですか?みんな次を楽しみにしてます」
「いいでしょう。ローレイン家セフィリア様付きの執事として負けられません。受けてたつ!」
「っふ、行くぞォオオオ!あ、セフィー危ない!」
「なにぃ!」
「隙あり!」
「んな!?っぶはぁあ!?!?」
「勝利」
顔面ヒット、狙ったわけではないが無様だったな。よっしゃみんな勝ったぜー!勝ち鬨をあげよぉー!はっはぁー!
あの後も3戦し結局、2勝1敗で勝ち越した。クラレンスさんはセフィーで気をそらせば大体当たる。最後はアーシャVSセフィーの異色の戦いだったカオスだったぜ。
「あー面白かった」
『沢山遊んじゃいましたねーお腹ペコペコですよ』
「アーシャお前、腹減るわけねーじゃん」
『新機能です』
「まじか」
「シオンさんアーシャちゃんお疲れ様でした。楽しかったですね!」
「御2人ともお疲れ様です。こちらタオルですよろしかったらお使いください」
すでに子供達は帰った。もう夕方だし仕方ない。この状況を親に見られるわけにもいかないしね。
「ありがとうございます、クラレンスさん。ほらアーシャ汚れてんぞワシャワシャー」
『あぶぶー苦しいです!お返しです!』
「ぐあ、鼻と口をおさえっ、くるひぃーアーシャすとっぷぅ…」
「あはははは!シオンさん変な顔になってますよ!っぶふぅう」
笑ったお返しにアーシャごと濡れタオルをセフィーにぶつけてやる。変な声が漏れてたがそのままグリグリする。
「っぺい!もう苦しいじゃないですか、…終わっちゃいましたねぇ」
「しゃーないさ、もう夕方だしね。俺たちも帰ろう。済みませんクラレンスさんこれ有難うございました」
「いえお構いなく。シオン様私に敬語は必要ありません。今後はセフィリア様と同じよう扱って貰って結構ですよ」
「え?でも…いえわかりました。クラレンスさんありがとう」
「クラレンスで結構ですよシオンさん」
「了解、クラレンス」『クラレさん!ありがとうございます!』
「はいアーシャさんもそれで構いません」
イケメン全開での微笑だ、どうやらこの騒動も無駄じゃなかったらしい。仲良くなれたようだ。
「クラレンスもシオンさんもズルイです分かり合っちゃって、仲間はずれにしないでください!」
「いえ、セフィリア様そんなつもりは…」
「クラレンスもセフィーにはタジタジだねぇ」
『仲良きことは美しきかな!です』
そろそろ解散しようと2人に声をかけようとしたらセフィーが話しかけてきた。
「あの御2人共、よかったら夕食もご一緒しませんか?屋敷に招待します」
「『え?』」
どうやら今日はまだ終わらないらしい。
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