第6話【200日のカリキュラム】

訓練1日目


アーシャからカリキュラムを渡された。どうやら兵士に必要な基礎をつけるためのものらしい。正直それに従うのは気分が悪いがなにもわからずやるより大分マシだ。

今日からは魔力操作を鍛えることだそうだ、魔力自体の認識や簡単な操作はすでに擬似経験でできるけどそれはこの世界の人は大体やってることらしい。


循環させるのが大切だとか、意識して操作する。だけど意外と難しい。とりあえず銃の扱いと並行して進めよう、先は長い。



訓練10日目


どうやらイメージ的には血流的に循環させると自分的には楽だ。心臓から血管に魔力を乗せていく。最初から循環している血流のイメージだけあって闇雲に循環!って形より随分楽になった。


銃はひたすら的に射撃射撃。最初は反動で腕が吹っ飛ぶかと思ったよ。なんで二挺拳銃なんだよ馬鹿じゃないのか。そもそも片手で扱うものじゃないよと挫けそうだったが魔力での身体強化が少しでもできるようになったお陰で片手でも扱えつつある。1挺13キロもあっても随分楽に思えるって魔力強化は素晴らしい。これこの世界のデフォなのか?こんな超人に溢れた世界が少し怖くなった。



訓練30日目


身体強化は大体できるようになってきた、数瞬で発動できる。アーシャにはあたりまえ、これぐらいできなきゃ生きてけませんとか。マジか。


銃は100メートル離れた場所でも当たるよ。おかしい、有効射程距離どうなった?ハンドガンでこれは・・・?魔法だそうです。もういいよ。

ちなみに訓練場所は施設内のボロボロの研究階層を全部ぶちぬいて射撃場および運動場にしました。こんな広い地下とかすげぇ。


そろそろ銃剣部分を使用した近接戦と体術訓練しなければ、ガンカタ?リアルガンカタァ!



訓練45日目


いい加減外に行きたい。訓練と睡眠の往復しかしていない。モグラになった気分。太陽の光がほしい、アーシャとの会話ができなきゃ迷わず訓練なんぞせずに外いっていたよ。

話し相手が機能説明であったけど確かに必須だったかもしれん。独り言にならんですむし。他者から見たら一人二役のキモいやつにしか見えないがねっ!


さて魔力操作は及第点もらった、基礎程度らしいけど暴走の心配はこれで大丈夫らしい。安堵。ここからは魔法訓練だよ!待ってました。


ここまで魔法使わせてもらえなかったからなぁ。施設が壊れるとかで。アーシャが無属性で結界魔法を作成したらしい。かなりの魔力を使用するが俺の魔法に耐える強度にしたとか。砲撃にも3発は耐えれるらしい。実は砲撃の話を聞いた時から撃ってみたかったため嬉しい。バンバン撃っちゃうぜ!


予想以上にヤバカッタ。反動は銃の反動程度に抑えられているので強化した握力で余裕でした。けど迫力と威力がパナい。真紅の極光の奔流がドーンて感じ?


結界に直撃した時の轟音はカミナリが空から落ちてきたかのような感じだった。これは唖然とした【バニシングレイ】というらしい。どこで使えばいいかわかんねぇ・・・。



訓練80日目


近接戦の訓練も自分なりにイイ線いってると思う。擬似経験ありがとう!俺は銃剣二挺流的な明らかに色物です。な感じなわけだがこれが馴染む。


実は結構前から土魔法で作成したアーシャ制御のゴーレム君と戦闘しているがやり合えてる。近接戦での体術と銃剣術の組み合わせでやりあう。

まぁ最初はチキンにもひたすら強化した肉体で中距離から銃の連射してただけに比べたらいい方だ。

でも俺は実戦では中距離保って魔法+銃撃こそ正義と思ってることはアーシャには内緒だ。


戦闘も形になってきたため新しいことを始めるらしい。アーシャにメニューを渡された。この頃こればかりだよ・・・畜生、こんなのいつ作ってんだよ!


どうやら魔力を使った近接技、【戦技】とかいうらしい。近接をメインに鍛える人や高位の魔法使いには必須だとか。俺も近接は訓練してるし必要なのはわかる

けどさ!この頃更に厳しくなってきてるよ!壊れちゃうっての。え?ケアはシッカリしてる?寝てる間に命属性でバッチリですって?っぐふぅ



訓練120日目


戦技【疾駆】と【天駆】が便利すぎる!疾駆は高速移動で天駆は空中移動なわけだが。ぴょんぴょん移動できるよ!空を自由に跳べますよー。ファンタジーサイコー。

結構戦技は便利だこりゃ必須だね。刀身に圧縮した魔力を徹し斬撃強化の【断空】やら徹した魔力を刃として飛ばす【列空】。衝撃波をだす【衝破】と魔法いらんねぇんじゃね?

と思わせるようなものだ。俺は移動強化の疾駆と天駆、距離を空けるための衝破を鍛えて大体ものにした。目的が透けて見える件について。


てか身体強化も戦技じゃないかと思ったがある意味基礎なため戦技に数えられてないとか。



訓練150日目


魔法も色々覚えてきた、特に展開から発動までの速度には自信がある。てか強化した速度帯での戦闘にイチイチ3秒4秒もかけて魔法なんぞ使えねぇ。


弾丸にエンチャントするならもう一瞬だ。爆発する弾丸とか氷結する弾丸とかかなり便利だ。特に使っている【フォトンブレイド】光の剣を陣から発生させて

飛ばすやつは0.5秒ほど、一瞬じゃね?とは思うけど強化は思考も加速する。


相対的に遅く感じるわけで。砲撃なんて1秒かかるからね。二挺あるから片方溜めて片方連射的な方法で運用してるよ。

でもいつか外で中距離から砲撃連射するのが夢なんだ・・・・・・。



訓練199日目


卒業試験です。アーシャ製ゴーレム君ver4.3超強化モード10体と戦闘だ。アイヤ待たれい!俺の魔力使ったゴーレムじゃん?今までも3体同時とかあったけど10体とかいくら俺でも魔力が尽きるよっ!


ぇ?余裕だって?1体100万しか魔力使ってないって?マスターが運用できる魔力は結界などもあっても5000万以上使えるって?10体とか余裕余裕?違う俺は10体も戦って勝てないと思うわけで。


問答無用?戦闘開始?ざけんなぁああああ!!!???



勝った、死闘だった・・・まさか自分の相棒に殺されかけるとは思わなかった。今回のフィールドは特別仕様で結界が多重展開されていてさらに自己復元するらしかった。

そのためあのクソゴーレム共は口から砲撃を放ってくるクソ仕様だった。ゴーレムといっても見た目は重武装した全身鎧の2mほどのあるゴーレムだ。鎧といかどこからでてきたしと思わないでもない。


そいつらが隊列とって襲ってくるのは悪夢に思えた。だって強化した弾丸やらエンチャントした弾丸ハジくんだぜ…。

しかも速い、クソ過ぎる。剣や槍や盾で武装してるし、でもさ盾いらなくない?と思ったら盾構えての体当たり、壁役じゃねーのと突っ込みいれたかった。余裕なんてなかったけどね!


結局丸1日戦い続けたよ。でもたしかに戦闘技術は問題ないね。自信ついたよ、人間追い込まれないと頑張れないのかもしれない。





「そして200日目、ついに旅立つ時が参りました。長かった…」


居住区の自分の部屋で鏡の破片から再度練成した大きな姿見で自分を見る。三つ編みにした長い金髪に紫色の眼、目鼻の通った中性的な容姿。


いつの間にか150cmまで伸びた身体、そんな自分が少し疲れた顔をしてこちらを見ていた。


「っふ…アハハハァァァアー、オワッタァアア!」


『お疲れ様です無事200日の短期訓練終わり、心身ともに立派な兵士になられました。カリキュラムを組んだ甲斐もあったものです』


「ザケンナぁああああああ!」


『マスターこれでやっとお天道様に顔向けできますよ!私たちの冒険はこれからです!』


「人間くさくなりやがって。ワザと言ってのか…いやいい、ワザとだって分かってる。俺たちは分かり合えてる」


『そんな酷いこと言わないでくださいよー。マスターのために色んな生活を楽にするための物資の練成がんばってきたじゃないですか。心外ですよ!』


確かに、こいつが色々やってくれているのは知っている。サポートの大切さは身にしみてる。こいつが作ってくれた術式は本当に便利だし。


でもだ、コイツの煽りはイラっとくるなんてレベルじゃない。何度喧嘩が勃発したか3日に1回はしてるね間違いない。


「はいはい、そのことは大変感謝してますー。ありがとうございました!」


喋りながら俺は200日を過ごした部屋を出てく、特に大切なものなんてない寝て起きるだけの部屋だったなと思う。


そのまま上層に向かい何度も出てこうとした外に向かうための転移陣の部屋についた。


「これを使えば出れるんだよな?」


『勿論です。こればっかりは何度も試験運用しましたから』


「そうか、よし、行こうか…新世界!」


『異世界にようこそマスターここからが全てが始まりです。楽しみましょう!』


そして俺は転移陣に魔力を流し転移した。

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