第5話【やるべきこと】
「これからどうしよう」
そう結局それに尽きる。この世界について何も知らないわからない、自分の性能すらも理解していないとなると予定なんてものはさっぱり立てられない訳だ。
「というわけだよ、アーシャ」
『なるほど』
「わかっちゃった!?」
『相棒ですから』
「具体的にどーぞ」
『ずばり、今後についてですよね』
「すげぇ」
『任せてください。それについては提案があります。マスターはまだ自己性能について把握しておられません。
地上では危険な魔物がいます。しかもここは人の手から離れて1000年です。元々辺境の森に結界を幾重にも張られた場所。
私も今現在どうなっているかは把握しておりません。自分とマスターの管理で精一杯でしたから。なのでやはりある程度の戦闘訓練と魔法の習熟が必須かと』
アーシャのいうことはもっともだ。
銃なんてあたりまえだが撃ったことなんてないし。攻撃魔法も最初のカプセルを壊したことのみ。行き当たりばったりは流石にない、森の中ということはそれこそ熊とかに遭遇したらパニくる自信しかないしね。
「オーケイ、んじゃ質問タイムといきましょうか。一番の武器になるであろう魔法だな。使える魔法を」
『マスターの使用できる魔法は基本は無属性のみになります。純魔力を使用したものです。たとえばビーム』
「いきなり斜め上!?」
『銃を媒介に砲撃ですね。あたれば死にます!』
ファンタジーどこいった!?あれ炎とか水とか、かっこよく雷でドカーンとかじゃなく。ビーム?ガン○ム的な!?
確かに強そうだ、当たれば勝利待ったなしな迫力にだな絶対。でもさ、考えてたのと違うぜ?
「・・・・・そりゃぁつよそーだね」
『実際強いです。弾速は速いうえに直径2mほどの砲撃のため当たりもいい。最強です、いきなり必殺技ですよっ』
「俺耐えられるかなぁ、こんな小さいんだし撃った瞬間吹っ飛びそうだけど」
『魔法ですから』
「ん?」
『魔法です!』
「反動ないの!?作用反作用どこいったし!SFにファンタジー混ざると最強に見える・・・・」
マジでかー、魔法って適当だな。
って実際は反動相殺などはアーシャがやってくれるっぽいね。なるほどそういった細かいとこは任せればいいと。
うん、インストールの知識も聞いてると少しずつ出てくるな。
「てか無属性だけなの?」
『とくに処理せずだとあとは強化ですね。無属性自体マスターのみの属性ですからね。でも属性を噛ませないだけあって使える幅があります。
術式開発すればいいだけです!新規魔法作っていきましょう。
それと他属性についてですね!これはですね術式に変換式を組み込み無属性から他属性に変換して使う方式です。
無属性のみの特権ですね。変換式も基本5属性と希少属性の時間・空間・重力・命は用意済みですよ。
他に気になる属性があった場合使い手から直接解析して変換式を獲得する必要がありますがこれだけの変換式があってやれないことのほうが珍しいはずです。
変換式を使って他属性を使用する場合は通常より1.5倍の魔力消費がありますがマスターの場合誤差でしょう』
なるほど確かにこりゃ万能だわ、知識を引き出し変換式を組み込み展開してみる。水属性魔法【アクアパレット】だ。
直径10cmほどの水の球が出てきた。水温の設定なんぞ組んでないから常温っぽい、しかしどこからこれ出てきてんだ?突っ込んだら負けかなぁ。
「そういや俺は魔力が有るほうなのか?」
『有り余るほどです、【ライト】の魔法を1分維持するのに1の魔力を使用すると考え数値化すると。1000年前の平均魔力値で1万ほどです。大体ですが。
対してマスターは約100億です』
「は?」
『100億です!一般人100万人分ですよ!まったく使いこなせてない上に防衛本能なのか99億分を自己封印してらっしゃるみたいですが』
「桁が可笑しい、世界征服とかなんてレベルちゃう、星の存続の危機レベルじゃね?ばれたら世界の敵認定されかねないよね・・・」
『なるほど確かにです!たぶん本気の砲撃を真下に連続で撃ち込んだらいつか壊せそうです』
おいおーい、実験体だとかホムンクルスとか戦争奴隷とかが誤差になるほどの厄ネタじゃねーか!!もしこれで奴隷とかになってたらその場で処分か世界に覇をとなえるだとかな感じになってたかも。世界に喧嘩売れるわ。
「やばいじゃん、バレたらこれ大敵だってのっ。隠蔽的ななにかできないか!??」
『大丈夫ですよー、ここまで突き抜けちゃうと凄い魔力としか認識できないはずです。感知系能力者や魔眼系なんてほとんどいませんし。
いてもやはり凄いとしかわかりません。それに1000年前の話ですが、そういった突き抜けちゃう人は大体【超越者】でひとまとめで認識なんです』
全然安心できない、力が抜けソファーに寄りかかり天を仰いだ。見えるのは天井だけで空なんかみえやしない。
改めて自分が兵器と分かった。イヤ魔力の素質は魂に依存する。となると俺は化け物だったのかとも思える。
日本じゃ普通を地でいく存在が変われば変わるものだ。
『隠蔽術式の開発をされますか?』
驚きアーシャに視線を向ける、自分でも間抜け面してるんだとわかるくらい唖然とした。
「できんの?」
『多分』
「お願いします!!」
少なくとも知識の中にはない、それは間違いなく新規術式だ。姿を消すだったり気配を消すだったりの魔法はあるのに一番必須なものがないとか。
どれだけ俺に厳しいんだとも思ったけど。捨てる神あれば拾う神ありだよ!でも言わせてくれ。上げて落とすのは、逆か。落として上げる?のはお前の趣味ですか?服の件もそうだったよね…。
『勿論趣味です』
「最悪だよ!?」
『ですが一番手っ取り早いのは、マスターが魔力操作を覚え完璧にすることですね。今マスターは魔力垂れ流しの状態です。更に制御できない99億もの魔力まで持っています。これを完璧にすれば問題ありません。
・・・が、桁が大きすぎますね。99億はとりあえす封印状態のままで。
予想ですが封印しているのは身体が耐えられないからだと思います。1億でも器が耐えてるのが凄いですが』
「内側からはじけ飛ぶとかイヤだぞ」
『その場合はじけ飛ぶ程度じゃ済みませんよ。間違いなく周囲ごと・・・なんて結果になりかねませんね。これも制御離して暴走すればですが』
話し聞くたびに身体が心配になっていく不思議。少しは楽観できるようなハッピーな話題はないのかよ。
『1年も転生にかかる訳です。そこらへんの問題も身体が成長すれば自然と残りの魔力にも耐える身体ができると推測できます』
「やっぱこの身体は成長途中か!おかしいと思ったよ。俺なら最初から屈強な身体で造るし。でもなんで子供の身体なわけ?」
『成長という過程を組ませたかったんです。どんなことにも対応できるようにですね。最初から完成だと伸び代が少ないですから。
この問題もおかげで年月が解決してくれますし。結果オーライですね。いや本当に』
「なるほど、大体これでわかった・・・かな?つまり今後は魔法と魔力操作の習熟と武器を使いこなす訓練か。どれだけかかることやら」
『ここは安全です。私もマスターにあった術式開発や隠蔽術式も作成したいですし。ゆっくりいきましょう。あと施設の補修などもやっちゃいましょう』
やることは多いみたいだ。安全を確保するためにもやるしかねぇ。
是非文化的な生活を!だな。
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