「あぁっ! おまえの部屋に、やせいのイーブイがいる!」
兄:
「ま、まさか自宅に現れるとはな!! なんという千載一遇のチャンスか!」
私:
「私の部屋でポシェモンを取るのは、禁止ですわ」
兄:
「は!? なーにおまえ、私有地主張してんの!?」
私:
「なーにもクソもありません。禁止と言ったら、禁止です。私の部屋で、ポシェモンをゲットするといった行為は、とにかく、禁止なんですわ」
兄:
「お役所仕様みたいな言葉づかいしおってからに……いいだろう、条件を述べよ」
私:
「ゲットするのは私です。さぁ、お兄様、そのスマホを寄越しなさい」
兄:
「バカな! 自分で捕まえてこその醍醐味だろうがっ!」
私:
「私の部屋という名の私有地に存在するのです。私が捕まえて、それからスマホを返して差し上げるのですから、悪い話ではないでしょう? 野球のボールがお宅の庭に飛びこんだら、住民がボールを取って返してあげるのと同ベクトルの話ですよね?」
兄:
「……そ、そういうものか?」
私:
「そういうものです。さぁ、どうなさるのですか? 早く決断しなければ、ポシェモンが居なくなってしまいますよ?」
兄:
「なんかお前、今日機嫌悪いな!?」
私:
「いえべつに? 先日町のどこかで、半径20メートル以内にミニリューたんが現れて、真夏日の中を汗をかきながらひた走り、時間切れになって、わあああああああぁ! なんて叫んだりしてませんから」
兄:
「恥ずかしいわおまえ! お兄ちゃん恥ずかしいわ!」
私:
「ふふ。お兄様が同じ目に合えば良いなんて、まったく思っていませんことよ?」
兄:
「……」
私:
「……」
兄:
「ゲームアプリって怖いんだなぁ……」
私:
「毎月ガチャに○万円つぎ込んで、翌日に人生悟ったような顔をしているお兄様が言うと、すごく説得力がありますね。私が間違っていました。どうぞ、自由に捕まえてくださいませ」
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