少年神との対話

 

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「とりあえずこれから行く世界について話そうか」


「あっはい。お願いします」


 これから行く世界について説明してくれるらしい。


「うん。これから行く世界はね、僕の管理している世界の中でも大きい方で、"ヴェルガンディア"と言うんだ。そこでは様々な種族がいて、その中でも人間が一番多いんだ。次に亜人と呼ばれる獣人達、魔法に長けたエルフ、鍛治に長けたドワーフ、害とされている魔物などと大きく分けて5つの種類の生物がいるんだ。....っとここまでは大丈夫かな?」


「まさにテンプレですね」


 まさにテンプレ!テンション上がるぅ〜獣人!エルフ!ドワーフ!魔物!夢の中の生き物かと思ったけど本当にいたんだぁ〜ってことは....私も魔法使えるようになったり!?はっ!?いかんいかん、顔がにやけてしまう。


「う、うん。そうだね。お察しの通りヴェルガンディアは剣と魔法の世界だよ。とは言ってもいい世界じゃないかな。スラムはもちろんの事、王族や貴族、平民との身分差もある。奴隷もいる。まぁ人間の国でしか奴隷制度はないみたい。奴隷については亜人達が多いかな」


「人間こわひ。ってか奴隷制度許すまじ」


「うんうん。奴隷制度は僕もどうにかして欲しいかな。じゃあそろそろヴェルガンディアに行く準備をしよか。さぁ君の新しい外見を見てみよっか♪」


 少年が言うとどこからともなく少女が出てきた。それより、


「えっ、なにこれ。どこから出てきたし、ってかなんでゴスロリなの!?」


 そう、少女はゴスロリを着ていたのだ黒がベースのふんわりしたゴスロリを着ていたのだ。


「カティアのアースにいた頃の記憶をのぞ...いやこの世界のドレスはアースのドレスと比べて古いし、締め付けるものが多いからね君が嫌がると思って君のいた世界にあったゴスロリにしたんだ」


 ちょっとまって、覗くっていう単語が聞こえた気がするんだけど。


「今覗いたとか聞いた気がするんだけど」


「空耳だよ」


「気のせいじゃないよなー」


「空耳だよ」


「あっ、はい」


「うん」


 改めて少女をよく見る。それにしてもよく出来てるな。本物みたい。


「すごいでしょ。僕の力作だよ」


「これ作ったの!?」


「うん」


「すげー」


「もっと褒めてもいいのよ」


「スゴイスゴイー」


「えへへ〜」


 ...何やってんだろ。

 少女の外見もなんというか....どう見ても幼い少女じゃないか....幼女....


「なんで幼女」


「可愛いから」


「あっそう。変更は?」


「ダメ」


「.....」


「深入りしてこないでくれると嬉しいかな」


「さいですか」


 そろそろ決めようかな...突っ込むのにも疲れてきたし...

 少女の容姿はざっとこんなもん。見惚れる程見事な黒髪、黒ベースのゴスロリ、もふもふした耳に尻尾。


 ...ん!?もふもふした耳!?


「このもふもふしてる耳ってなに....?」


「アースにいる狐って生物の耳と尻尾をつけてみたんだ」


「嬉しそうだな」


「ケモ耳幼女とかメシウm、ゲフンゲフン」


「おい」


 ...しかしまぁ...人形みたいだな

 自分がこの姿になるとか....

 すごく恥ずかしいな。いや、でも可愛いし許せる。


 などと、このようなやり取りをしていた。


 --


「そろそろヴェルガンディアに行こうか」


「あっはい」


「詳しい事はあっちの世界行けばわかるよ。加護とかもあっちの世界に行ってから随時増やしたり減らしたりするから。ってことで、またね~」


「ちょ、突然すぎる」


 少年がにこやかにそう言うと、突如浮いてるような感覚がして意識がブラックアウトした。


 --


 そのころ少年は...


「やべっ、なんか間違えたっ!?どっかが違ううううう」


 と、慌てていた。


 --


 ―アルガンディアのとある草原―


 そこには人形のような少女がいた。否、寝ていた。少女の隣には黒い本が落ちていた。


「ん....ここはどこなんだろう?」


 鈴を転がした様な可愛らしい声がした。少女が辺りを見回してみるが誰もいない。


「えっ...私の声なの!?」


 そう驚き、自分の横にある黒い本に気がついた。


「なんだろうこれ」


 本を開いてみる。黒い本は中の紙まで黒かった。金色の文字で何かが書いてあった。しばらく眺めていると頭の中でカチリと音がして一部の文字が読めるようになった。


「ん?読める...なになに...ステータス...名前にレベル、種族、HP、SP、なにこれ」


 -ステータス-

 カティア Lv:1

 種族:���

 HP:���/���

 SP:���/���

 スキル

 ���

 固有スキル

 ���� 

 �幻

 言語理解

 ���眼

 状態

 ��神の加護


「なんじゃこりゃ?」


 殆どが文字化けをしていて読めやしない。他のページを開いてみようとするが開けない。


「今開けるページはこれだけってことか」


 最初のページにはステータスだけが載っていた。だが、自身の現状を把握するにはまだ足りない。


「えっと...草原...?」


 とりあえず街へ行きたいな。どっちに行けばいいんだろう?


 すると―


 それは突然やってきた。


「いやあああああああああああああどいてえええええええ」


「ひゃっ!?」


 何かが叫びながら走ってきた。まったく変な声出しちゃったじゃないか。魔物が連なってこちらへ向かってくる。先頭には綺麗なお姉さんが走ってきている。走る、揺れる。走る、揺れる。


 いやいやいや、こっちに来ないで!!!

 そう思ったら手に持っていた本が浮かび上がり今まで開けないと思っていたページがひとりでにめくれ、止まった。それは赤く光り輝いていた。私はその光に導かれるように手をかざした。


『―禁節、断罪ノ荊棘ヨ、カノ者ヲ殲滅セヨ Svart rød Vine』


 私の口から流れる言葉。本にかざした手の先には赤黒い文字が、魔法陣が浮かんでいる。体から何かがごっそり抜けていくような感覚がして、地面から赤黒い棘のある蔓伸びてきて魔物たちに絡みついては八つ裂きにしていく。あっという間に生きている魔物はいなくなった。安心した途端、目の前が暗くなって私は倒れた。


 --


 ???視点


 今日はなにかと騒がしい。魔物たちが増えているようだ。みんなは里の外へ出ていかない。長は里の結界の強化へと向かった。私は少しでも里の周りから魔物が減るように仲間たちと里の外へ出た。思った以上に魔物が多く仲間と離ればなれになってしまった。今日はもう遅いから木の上で寝ようと決めた。

 朝、目が覚めると昨日より魔物の気配が少なくなっていた。いや、一箇所だけ魔物の気配はない。何かあるのかと思い、そこへ向かってみる。

 向かってる途中、多くの魔物に見つかり、追いかけられる。思わず叫びながら走った。時々魔法を後ろへ放って倒す。だが魔物の数は一向に減らない。魔物のいない開けた草原へ来たのはいいが魔物の数が多く止まれない。中央付近へ走っていると黒い、何かが見えてきた。女の子のようだった。迷い込んだのだろうか。

そんなことより魔物をどうにかしなければ少女もろとも巻き込んでしまう。そう思い魔法を使おうとした。が、少女が先に動いた。少女の持っていた本が浮かび上がりパラパラとページがめくれていく、少女が手をかざしながら抑揚のない声で何かを呟くと赤黒い魔法陣が浮かんだ。私はそれを見てここにいては危険だと思い、横へ魔法で自身を飛ばした。

 すると地面から禍々しい赤黒い蔓が伸びてきて魔物たちを次々と倒していく、それは圧倒的でいて、美しかった。動いている魔物がいなくなりなんとか助かったと思った。少女は誰なのだろう。少女を見たら倒れていた。驚いた。急いで彼女を抱え上げ里へと帰った。

 里では魔物が減り、みんなは安心していた。仲間たちは一足先に戻っていたらしく私の姿を見て喜んでいた。私が抱えている少女を見た途端、目つきが険しくなった。変な誤解をされたくないので事情を話し、長の元へ向かった。少女をよく見てみると綺麗だと思った。艶がある黒く長い髪、耳と尻尾、一見からして獣人かと思ったがこのような獣人は見たこともないし、聞いたこともない。

  ここは深い森、こんなところに幼い少女がいるわけないだろう。捨てられたのだろうか。長は少女は魔力の使いすぎで倒れて今は寝ているらしいと言っていた。少女が危険かどうか見極めるためにしばらく監視を付けるらしいがその役目は私がすることになった。少女を私の家のベットで寝させた。未だ起きる気配はない。昨日と今日はいろんなことがあって疲れた。泉へ行き水を浴びてから少女の隣で寝た。

 明日になったら彼女は起きて話できるかな?



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