少年神との対面

  いたい、いたい、

  イタイ、イタイ、

  さむい、

  くるしい、

  たすけて、

  おとうさん...おかあさん...


 そして何ひとついい事こともなく少女は死んでしまったとさ


  --


「ここはどこなんだろう?」


  命は尽きれば皆同じ。それは私にも当てはまることだった。

  温かいような冷たいような暗い空間に私は浮いていた。私は兵士に殺されて死んだはず....?


「あちゃ~君また死んじゃったのか~」


  突然、気が抜けるような落ち着く声が聞こえた。周りを見回しても誰もいなかった。


「ここだよここ」


「ここって言われても...」


「あ、部屋が違ってたちょっとまって~」


「部屋が違ったって...」


  突然周りの風景が変わった。さっきの暗い部屋とは一転草原のような所に私はいた。周囲を見てみると綺麗な少年が立っていた。


「ここは...?」


  私は恐る恐る聞いてみた。


「んー?ここは天界、属に言う天国に似た所だね」


  彼はここを天国だと言う。


「天国...?悪魔の私が...?」


「悪魔?いやいや君は普通の”人間”だよ?」


「人...間...?」


  私は悪魔ではなく人間だという。


「そう人間、何故か君は何度転生させても成人する前に死んじゃうんだよね~」


「転生....?私を何度も転生させた...?」


  転生という言葉は聞いたことがある。転生とは死んだ後に別の存在として生まれ変わることを転生だと聞いたことがある。転生してきた者は転生者と呼ばれ、何かと他人より優れているらしいなど、悪魔の色、黒髪、黒目の私がそんなわけない。


「そそ、僕は君に何度も死なれちゃ困るわけなのよ」


「私が死ぬことであなたが困る...?」


「そんなことは置いといて、君名前言える?」


 名前...?なんで名前?そりゃ言えるでしょ。


「はい私は×××です」


 あれ...?名前が言えない?えっ?おかしくね?


「やっぱりね〜あの世界では君の存在が消えたんだね〜」


「んな他人事な...」


「他人事だもの。例え誰かの記憶に残っても、あの世界で命が尽きれば何故か君の存在は消えてしまうんだよね。どの世界も人間は永遠には生きられないから短い人生を一生懸命生きる人もいるんだけどなぜか途中で諦める人もいるからね。」


「さいですか」


「難しいことはともかく名前がないことには不便だねぇ」


「そうですね」


「僕が名前つけてあげてもいいけど、どうする?」


「えっ...?」


「えっ?ってひどいなぁ。神である僕が君の名前をつけてあげるんだから感謝してね」


「タノンデマセンケド、ソモソモアナタガカミトイウコトハジメテシッタンデスケド」


 なんか目の前の少年から衝撃のカミングアウトが...この少年、神らしい。


「そんな事言わずにさ、君の名前は何がいいかな〜そうだ!カティアにしよう純粋って意味のカティアがいいかな」


「スルーしやがった...カティア...純粋ですか」


「うん我ながらいい名前を思いついたな。そうだ!カティア、カティ君に僕の祝福をあげようか。その前に君の記憶を返してあげよう。ちょ〜っと頭痛くなるかもね〜」


 記憶を返す...?少年が何かを投げるような仕草をした途端、頭が焼け付くような痛みに襲われる。


「っつ...何この記憶っ...これは私...?」


「正真正銘君の記憶だよ〜結構世界を転々としてたからな〜それなりに膨大な記憶だと思うよ〜だけどその中でも一番長く生きれたのが16歳までだったんだよね〜」


 のほほんとそんなことを言う少年。彼は私のことを全て知っているのだろうか。しばらくすると頭の痛みが収まってきた。段々と私がどこで何を、どのように死んだのかを思い出してきた。


「痛みは収まったかな〜?」


「はい」


 とは言ってもまだちょっと頭は痛いけどね。


「今の記憶のベースとなってるのは君の一番最初の記憶かな?多分"アース"と言う惑星から来たんだよね。そこでは僕の管轄の世界より文化が、科学が進んでいたねぇ」


「なぜそのことを!?はっ!もしやストーカーかっ!?」


 何故目の前の少年は私の出身地を知ってるのだ。あ、でも神か。


「酷いな〜僕は神だよ〜まぁそんなことより祝福の話をしようか」


「祝福ですか」


 おっ、テンプレKI・TA・KO・RE

 私はアースにいた頃はよくそんな物語読んでたな...


「そうだよ〜君は死にまくるみたいだから手始めに人間辞めて貰いま〜す」


「えっ...」


 人間辞めさせられるってどういうことだよ...

 せめてさ、祝福なら便利なチート能力をくれてもいいじゃないか...


「そのままの意味だけど?」


「...ところで拒否k「因みに拒否権はないよ」まじかよ...」


 思わずorzの格好になってしまったじゃないか。


「ちょっとやそっとじゃ死ななくなるだけだから不老不死じゃないし、簡単に言うと超ハイスペックになるってことかな」


「なんてこったい」


 私の、私の青春...

 死ぬ(殺される)前の輝いていた...?高校生活が...死ぬ前まではピチピチの女子高校生だったのに...なんでこうなってしまったのだ...


「そこまで深く考えなくていいよ〜カティは君を召喚した挙句殺した人達を探して殲滅してもいいし、一緒に来た子たちを探しに行くのもよし、これから行く世界を良くしてくれればなお良し!」


「簡単に言ってくれるな...」


「他人事ですから」


「うそだろ...」


「おっと、また話が逸れたな、話している間にも記憶はちゃんと戻ってるかな?」


「うーん。アースにいた頃の記憶の方がはっきり思い出せるかな。他の事は何度も死んでいることを薄ら思い出せるぐらい」


「よし、ちゃんと記憶は戻ってるね。さっきも言ったけどカティの記憶はアースにいた頃をベースにしてるからこの世界で暮らすのに役立つことが多いかな」


「その世界で暮らすことが前提なのね...」


 私は二度とアースには戻れないのかな...



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