少年神の観測
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僕は今日も世界を見る
生き物がいる
生き物生きている
生き物が死んでいく
僕と同じような格好の種族がいる
人間は他の種族より数が多く文化も発展している
亜人と区別されている獣人、比較的人間と仲がいいエルフやドワーフ、竜に変化することができる竜人、他には害と認識されている魔物などがいる
ある国を見た
大きな建物で人々が古い魔法陣で何かをしている
僕はそれを見て
『この人たちは他の世界から何かを呼び出そうとしている』
そう思った
勇者召喚でも行っているのだろうか?
眺めていると魔法陣が段々光り輝いてきた
眩しいなと思っていたらいつの間にか光は消えていて、そこには5人の他の世界から呼び出された人間がいた
呼び出された5人は戸惑っていた
偉そうな人が前に出てきてなにやら話をしているようだった
僕は5人の男女がいる中、1人の女の子は他の人とは違う感じがした
2人の男の子
3人の女の子
4人は茶色の髪でしたが1人の女の子は吸い込まれそうな黒の髪だった
とても綺麗だと思った
僕がその人達を見ているとなにやら口論をしているみたいだった
すると突然周りに並んでいた人達が武器を構え始めた
5人を取り囲んでいった
そのうちの4人が武器を構えた人達によって僕が他とは違うと感じていた人と引き離された
引き離された4人は嘲笑を浮かべており黒髪の女の子は恐怖に引き攣った顔をしていた
黒髪の女の子は何かを言っている様でしたが武器を構えた人達によって殺されてしまった
それは何度も、何度も、何度も、何度も剣や槍を突き刺され
女の子は泣きながら抵抗していましたがやがて動かなくなってしまった
周りは綺麗な赤
その子の体から出てきた血
一方、引き離された4人は偉そうな人と他の部屋で話をしていた
あの子のことなど最初からいなかったみたいに
いつの間にか彼女は消えていた
違う、消されたんだ
僕はあの場に漂っていた彼女の魂を回収し、僕の管理している世界のうちの1つに転生させた
願わくば彼女に幸せになって欲しい
そう願ってーー
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今日もまた僕は世界を見る
僕の管理している世界では戦争が多くなってきた
なんて人は醜いのだろうか
争いを繰り返すだけで未来のことなどこれっぽっちも考えちゃいない
種族が、肌の色が、言語が違うだけで戦争
身分の違いだけで蔑んだり崇めたり
とてもくだらない
僕はこの世界に自分の存在に似た違う生き物を創っていた
天使、女神、精霊、魔神、悪魔など
彼らは僕と違い他の世界には干渉できない
自分のいる世界で自分の役割を果たしている
僕は見ているだけ、彼らは世界のバランスをうまく整えてくれる
時にはイレギュラーな存在が出てきたりするがなんだかんだ言って収まる所へ収まる
勇者召喚、異世界からの落ち人、他の世界からの迷い人
これらは僕の知らないうちに増えてる住人
ここの世界ではない人達
突然右も左もわからずに放り込まれた人達
かわいそうな人達
言い出したらキリがない
だけど僕が見ている中で僕が何かを感じたのはずっと昔に転生させた彼女以来運命的な何かを感じたことは無い
彼女は特別なのだうか
僕は久しぶりに彼女を見に行く
彼女は何度も死んでいた
それも成人する前に
「どうして!?」
僕は驚いた
彼女には死んだら記憶を消して転生させる術式を入れ込んでいる
彼女には成人したら重要な記憶だけ思い出させる様にしてある
だが彼女は成人する前に様々な死に方で死んでいた
彼女の魂は綺麗だ
何度死のうが彼女の魂は綺麗なままだ
容姿は黒髪黒目と同じような格好で転生している様だがその容姿のせいで死んでいることが多い
僕は彼女に幸せになって欲しい
この思いは変わらない
僕は彼女に後数回転生してもらう
それで成人する前に死んでしまったら
彼女に記憶を返してあげよう
そしてこの世界を変える手伝いをしてもらおうと思う
いや、僕の近くにいて欲しい
僕には寿命という寿命はない
それ故に世界が出来て終わる最後まで僕は見ていることしかできない
否、見ることはできる
僕が見ていて気に入った人達には些細な加護を祝福を
気分によって転生させたりした
だけどまだ僕はここでは一人
僕は淡々と仕事をこなし世界を見る
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