《付録》最後まで読んでいただいた方へ

登場人物紹介(1) あ行~た行(大量のネタバレありversion)

『続・ここは安全地帯』の登場人物紹介(※昇順)です。

 ※名前の記載がない人物は、作中の呼び名の欄に記載があります。

  今回も大量のネタバレを含んでおりますので、ご注意ください。


【あ行】

●相田 千郷(あいだ ちさと) ※「ここは安全地帯」に登場

 谷辺千奈津の妹であり、宵川斗紀夫の元恋人。

 6年前の10月、我妻佐保を標的とした身代金目的殺人未遂事件で、斗紀夫の同士である女子高生・A子に殺害され32才で死亡。死出の旅へと赴く斗紀夫が川の中で見た彼女と谷辺千奈津は、ただの幻であるのか、それとも……


【か行】

●義弟嫁(ぎていよめ)

 宵川斗紀夫の妻である宵川麻琴の弟の妻。作中に名前は登場せず。

 超気弱な性格であり、卵アレルギーである我が子・ピアが馬鹿な麻琴にクッキーを食べさせられそうになった時も、子供を守ることができなかった。ちなみにピアは、間一髪で斗紀夫に助けられた。


●近衛 仁郎(このえ じろう)

 八窪由真と幼稚園・小学校・中学校まで同じ時間を過ごした元同級生。

 現在24才。「レストラン 笑窪」のサブシェフ。身長196cm。

 髪を脱色し、一見チャラ男っぽい外見。やや面長でひょろひょろとした超長身。小学校・中学校・高校と、ずっと野球部に所属していたが、万年補欠であった。学生時代も、飛び抜けて勉強ができたり、運動神経がいいわけではなかったが、誰にでも同じ態度で接し、明るい彼は皆に好かれていた。

 宵川斗紀夫たちの共犯であり、化け物に変化した松前不二男ですら仁郎に「ハゲ」と言われた時には怒りを見せたものの、彼を大変に気に入っており危険から遠ざけていた模様。

 レストラン内で怒り狂う宵川麻琴より由真や七海をかばったり、レストラン裏で奇妙な声(暴行され呻いていた八窪直久が助けを求める声)が聞こえた時も由真を守ろうとするなどの勇敢な面を見せた。

 彼は本来なら、事件より6年後の”由真を主人公とした宵川斗紀夫の舞台計画”には登場しない人物であった。だが、彼は松前不二男に誘拐された由真を放っておけず、吹石隆平とともに車で追いかけ、斗紀夫の計画にとっては飛び入りのキャストとなった。彼は”松前不二男”にナイフで肩を刺されたりして重傷を負うも、惚れている由真をその広い背に庇おうとするなど、最後まで由真を助けようとし、逃げ出すことはなかった。そして、自分の身を挺して炎の中より由真を救い出すことに成功した。


●駒川 汐里(こまがわ しおり)

 6年前の「Y市連続殺人事件」の被害者であり生存者。事件当時は22才で、L大学の学生であった。現在は28才。身長172cm。

 四国出身。両親と弟・妹の5人家族。すらりと背が高く、やや和風顔。成績優秀で学内の男子学生からの人気も高かったらしい。鈴木梨緒には地味顔と言われていた。そして、当時の恋人は滝正志(彼女にとって初めての相手であり、ハメ撮りまでする関係)であったが、彼が自分の”親友”である鈴木梨緒と手を繋ぎあっているのを知っていても知らないふりをしようと必死で努めていた。

 正志に対して自分から別れを告げようと決意したあの夜、「殺戮者」からの襲撃を受ける。逃げる途中で車の鍵を失くすという痛恨のミスをおかし、梨緒と正志に置いて逃げられてしまったが、結果的にそのことが彼女を生存へと導くこととなった。彼女は、肥後史彰と重症を負った笹山之浩と、車で山を下り、市立総合病院まで逃げることができ、生存した。

 28才となった現在、同じ事件の生存者である肥後史彰と結婚し、ともに生きていくことを決め、彼と一緒に由真のもとを訪れ真理恵の霊前に手を合わせた。


【さ行】

●佐伯(さえき)

 八窪由真の母。八窪卓蔵の会社の元従業員。名前ならび年齢は不明。

 入社当初はおぼこい感じだったらしいが、次第に男ではっちゃけていったらしい。彼女は、未婚のまま出産した一人娘(由真)は本命の男の子供だと思っていたらしいが、DNA鑑定の結果、八窪卓蔵の子供であることが明らかになった。その後、由真1人をゴミ屋敷同然のアパートに置き去りにしたまま姿を消した。現在も消息不明である。

 由真自身は、生物学上の母である彼女のことは、会いたいとも恋しいとも思っていない。それは真理恵が由真にとって本当の”母”であるからだ。


●桜井 朋貴(さくらい ともき)

 事件当時は22才で、L大学の学生であった。現在は28才。身長171cm。

 駒川汐里、滝正志、鈴木梨緒たちと同じゼミのグループで、彼女たちとともに「ぺんしょん えくぼ」にもやってきた。鈴木梨緒とはバイト先も同じ焼肉屋である。外見は平均以上であるも、盛り上げ役でもなくリーダータイプでもなく、のほほんとしている。そして鈴木梨緒とはバイト先も同じ焼肉屋である。かなりの愛犬家な青年であり、携帯の待ち受けも愛犬の写真である。

 「Y市連続殺人事件」が起こったあの夜、彼は愛犬・シロの死により1人だけ先に帰宅したため、事件の被害者にも目撃者にもなることはなかった。事件後、大学内で汐里が誹謗中傷に襲われた時も噂を否定して回り、汐里のことも犠牲となった滝正志と鈴木梨緒のことも、事件から何年もたった現在も考えずにはいられなかった。作中に出てきたハンドルネーム「きっとシロも天国に」は、彼である。


●笹山之浩(ささやま ゆきひろ)

 6年前の「Y市連続殺人事件」の被害者であり犠牲者。身長164cm。

 「ぺんしょん えくぼ」の従業員で、では主に清掃や雑務を担当していた。10年前の34才の時に、2人暮らしだった母親を亡くして以来、天涯孤独で働き続けていた。いつも笑っているような目元をし、言われた仕事はきちんとこなすが、空気の読めない言動があったりと、不器用で純朴であるが、少々とらえどころのない人物。白鳥学いわく「顔つきや立ち振る舞いを見ていると、小学生ぐらいの子供から必要な過程をすっ飛ばして、今の年齢になってしまったかのような奇妙な感じ」であるらしい。彼は同僚である多賀准一と深田季実子が、いい年して乳繰りあっているのを知っていたが黙っていた。

 ペンションに殺意を向けた殺戮者の姿に、真っ先に気づき(というより裸の女がいるように見えた)、1人で外に向かったため、その毒牙にかかった。その後、自分を捜しに来た多賀准一を目の前で殺害された。血だらけで呻いていたところを肥後史彰と駒川汐里により、車で市立総合病院へと運ばれたが、出血性ショックのため、他の犠牲者たちと同日に息を引き取った。享年44才。


●殺戮者(さつりくしゃ) = 舌無しコウモリ(したなしこうもり)

 6年前の20×6年8月4日に発生、「Y市連続殺人事件」の加害者。

 由真の姉・八窪真理恵とは高校の同級生(だが、そう親しい間柄ではない)であった。そして、彼女は、宵川斗紀夫、松前不二男の同士であり、彼らと同じく夢で受け取った者である。

 人間時の呼び名は「舌無しコウモリ」、化け物へと変化した際の呼び名は「殺戮者」である。

 人間時はそれほど美人でも可愛くもない外見であることを自分でも自覚していた。職につかず自分の大好きな酒が飲めないとなると人が変わってしまうほどの父親と、自分の思い通りにならないと暴力を含んだヒステリーを起こす母親の間に生まれた。母親には真冬にホースで水をかけられたこともある。

 高校在学時に学校の人気者であった男子生徒・Uに告白するも、振られる。高校卒業後は家庭の経済的な事情で大学に進学できずに働いていた。だが、その勤務先の会社でも、自分に仕事を押し付ける女性の同僚、そしてその女性の同僚ばかりを可愛がる上司がいた。その仕打ちに6年間耐えたのち、自主退職。

 6年前の20×6年8月4日に、ずっとファンであった宵川斗紀夫との待ち合わせまで少し時間があったため、昼寝をした。その時の夢は何度も見続けているあの不気味な夢であったが、現在自分が置かれていた辛い状況や鬱屈した思いが重なり、彼女は夢で受け取ってしまった。

 宵川斗紀夫と会い、彼に自分が”本当に望んでいること”を問われ、ついに「殺戮者」と変化。その時、魂の奥底より湧き上がってきた殺意のルーレットは、八窪真理恵のところで止まった。そして、さしたる恨みもなく、自分には手に入らない美貌と金と家庭環境(家庭環境にも恵まれていたと思い込んでいた)八窪真理恵を襲撃することとなった。

 変身後の彼女の顔は、青くザラザラとした皮膚、黄色く爛々と輝く瞳、口は耳元に届くかというほどの亀裂であり、その裂け目からは黄色く長過ぎる乱杭歯が覗いていた。そして、尖りきった顎に臭気のこもる口から落ちる涎がつたう醜く異様なその顔を縁どっているのは、バサバサとしたまるで干し草のような髪であった。体型は人間としては規格外なほど細長く、優に2メートルは越えていた。萎びて垂れ下がった大きな乳房の両の乳首は、まるで耳にまで届くほど裂けた唇と同じく、生臭さを感じさせる赤っぽい色であった。そして、下腹部の陰毛は髪の毛とは全く違う漆黒の存在感を青の皮膚の上で示していた。

 誰もが恐怖に駆られて逃げる醜悪な風貌をした彼女の姿に、あの夜、ペンションに居合わせてしまった従業員や客たちも、もちろん逃げた。彼女の真の狙いは八窪真理恵であったが、たまたま真理恵と同じ屋根の下にいた人々も巻き込み、「Y市連続殺人事件」は発生した。

 だが、その殺戮能力に関しては、夜の闇の中、八窪真理恵と新田野唯を見間違えて襲撃をしたが、同じく夜の闇の中で白鳥学や八窪真理恵に正確に木の枝を命中させるなど、矛盾した描写もやや見られる。

 あの殺戮時に彼女は正気を失っていたらしい。そう、彼女いわく「どうかしていたとしか思えない」状況であったらしいが、彼女が直接その手で命を奪ったのは、多賀准一、深田季実子、笹山之浩、滝正志、根室ルイ、白鳥学、八窪真理恵の7名であり、死に追いやる状況を作ったのは新田野道行、新田野唯、鈴木梨緒の3名である。本人がどう言い訳しても、10人の人間の命を一夜にして奪った大量殺戮者であることには変わりはない。

 彼女が真理恵を殺すことを優先させたため見逃したのは、肥後史彰と駒川汐里。殺そうとしたが、命を取り留めることとなったのは、吹石隆平と八窪由真。

 彼女自身もあの6年前の夜より、終わることのない悪夢と罪の意識にさいなまれていた。この呪われた人生を遺族であり被害者でもある八窪由真の手で終止符を打たれたいと宵川斗紀夫に相談する。よって、新たな宵川斗紀夫の脚本による新たな舞台計画が設けられた。

 だが、実際に自分の処刑の瞬間が近づくにつれ、彼女の裁きを受ける意志に揺らぎが見られ始めた。松前不二男はそのことを見抜いており、八窪由真とともに、彼女を絶体絶命の炎を壁へと追い詰めた。実際に”死”が近づくと、彼女は裁きを受けることよりも、由真を殺して自分だけは生き延びる選択をし、自ら「殺戮者」へと変身した。

 由真を殺そうとするも、6年間悲しみと憎しみを煮えたぎらせていた吹石隆平に邪魔をされ、彼ととともに燃えさかる炎に焼かれ苦しみながら死亡した。一度、「殺戮者」となり、再び「殺戮者」となることを選んだ彼女は、業火のなかでその生涯を閉じた。


●舌無しコウモリ(したなしこうもり)

 「殺戮者」がネット上でも使用してたハンドルネーム。名付けたのは、宵川斗紀夫である。彼女は最後に「殺戮者」として生きることを選んだため、詳しくは「殺戮者」の項を参考。


●白鳥 学(しらとり まなぶ)

 6年前の「Y市連続殺人事件」の被害者であり犠牲者。身長177cm。

 八窪卓蔵が代表取締役を勤める会社の従業員。職種は営業。

 爽やかな清潔感に溢れ、スーツ姿が見事に様になっている男性。社内一のイケメンであったらしく、女子社員からの人気も非常に高かったらしい。玉木宏に少し似ている。今年の春まではラブホテルに行くような関係の彼女がおり、チェックインするところを仲吉浩太に目撃されていた。

 彼は幼い頃より、運動も勉強も人並み以上にできたため、人並み以上の成功を掴めるはずだとのプライドと自負があった。そのうえ、八窪卓蔵にも気に入られていたため、離婚直後の八窪真理恵の次の夫(次期社長)の座を狙い、ペンションに押しかけて来た吹石隆平とも火花を散らした。

 彼はプライドや野心は人一倍高かったが、正義感や責任感も人一倍持っていたため、生存者が次々と減っていくなか、1人でも先に逃げることができたはずなのに、由真と真理恵を連れて逃げた。

 夜の闇の中を由真たちとともに必死で駆けていた彼であったが、「殺戮者」が後方より投げた木の枝に、まずは右太ももを、そして次にその首を貫通させられ死亡。心残りと未練がたっぷり残るこの世を去った。享年28才。

 彼の死後、彼の家族(両親と妹)は会社を相手取り、裁判を起こしていた。彼の三回忌を過ぎる頃、会社から多額の賠償金を払うという形で裁判の決着はついた。


●鈴木 梨緒(すずき りお)

 6年前の「Y市連続殺人事件」の被害者であり犠牲者。身長165cm。

 事件当時、L大学の学生であった。駒川汐里、滝正志、桜井朋貴たちと同じゼミのグループで、彼女たちとともに「ぺんしょん えくぼ」にやってきた。桜井朋貴とはバイト先も同じ焼肉屋である。

 抜きん出た美人ではないが、世の流行に乗り、大多数の人は可愛いと思う外見の持ち主。ミスキャンパスにも立候補し、なかなかいい線までいったらしい。モデルになるのが密かな夢であり、脚が折れそうに細く、事件当時はミニスカート(下はショッキングピンクの下着)を着用していた。

 駒川汐里とは”親友”であるはずだったが、彼女の恋人である滝正志と裏で手を繋ぎ合っていた。入学当初、学校生活に馴染めなかった汐里に声をかけ、自分たちのグループに入れたものの、成績、男子学生からの人気、教授の受け、就職内定先など全てにおいて、汐里に前を歩かれてしまい、彼女に劣等感をいただいていたのも1つの理由であるだろう。

 汐里を置いて、正志とともに新田野夫妻の車に乗って逃げる途中、「殺戮者」に襲撃され、目の前で正志を殺害された。逃げようとした彼女は走行中の車のドアを開けてしまい、頭部よりカードレールに激突し死亡。享年22才。

【た行】

●多賀 准一(たが じゅんいち)

 6年前の「Y市連続殺人事件」の被害者であり犠牲者。身長181㎝。

 料亭で料理人として働いていたところ、八窪卓蔵に気に入られ、「ぺんしょん えくぼ」のコックならび管理者を任されることとなった。ガッシリした体格で、仲吉浩太いわく「チョイ悪親父っぽい」風貌であるとのこと。調理師としての腕は良く、信頼も厚い人物であった。妻と一人息子がいたものの、事件当時は既に離婚しており、不良の道へと進んだ息子とも疎遠となっていた。同僚である深田季実子とは人知れず(笹山之浩は気づいていたが)懇ろな仲であった。受付のカウンター下で季実子の下半身を撫でまわしたり、夜の調理場で深い口づけをし合うなど、季実子といたるところでいちゃついていた。

 事件当日の夜、なかなか戻ってこない笹山之浩を探しに外に出て、血まみれの彼を発見し驚き、救急車を呼ぼうとしたところ、焦りにかられた「殺戮者」に後ろから首を掴まれ、その怪力で首と胴体を切断され殺害された。享年51才。

 彼の死後、息子は更生し、Y市に戻り母親と暮らしながら真面目に働いているとの書き込みが掲示板にあった。


●高藤 永吾(たかふじ えいご)

 「レストラン 笑窪」の従業員。ホール担当。25才。身長176cm。

 すこぶる真面目な勤務態度で、温和な印象を与える一重瞼が特徴的な青年。大阪で会社員をしていたが、オーバーワークのため退社し、Y市に越してきたとのことだったが……実際は上司の子供(男児)に必要以上のスキンシップをとってしまい、会社に居づらくなったためであった。

 そう、彼は歪んだ性癖の持ち主であったのだ。彼の好みは色白で睫が長くて女の子のような可愛さを持つ”少年”で、小学校中学年~高学年ぐらいの少年がストライクゾーンであったが、Y市に越してきてからは”同僚たちのいるところ”ではその片鱗を見せないように非常に注意していた。

 だが、彼が築き上げていたその理性の堤防は、「レストラン 笑窪」に手伝いにきた男子中学生(八窪直久)によって崩壊した。仮病により早退したと見せかけた彼は、帰宅途中の直久を待ち伏せし、性的暴行を加えた。由真だけでなく、レストランの従業員誰もが彼がそのような犯行に及んだとは信じられなかった模様。

 彼は犯行時に誰にも自分の姿を見られていないと思っていたが、生前の吹石隆平にその姿や地元の男子小学生に声をかけていたところを目撃されており、翌日自宅にやってきた警察官に逮捕された。部屋からは彼の趣味を如実に示す本やDVDも発見されたそうだ。


●滝 正志(たき まさし)

 6年前の「Y市連続殺人事件」の被害者であり犠牲者。身長175cm。

 事件当時、L大学の学生であった。駒川汐里、鈴木梨緒、桜井朋貴たちと同じゼミのグループで、彼女たちとともに「ぺんしょん えくぼ」にもやってきた。就職活動のため黒髪であったが、本来なら茶髪が似合う今風のイケメン。大学内でも明るい盛り上げ役で、人気が高いいわゆるリア充であった。彼も他の学生たちと同じく、既に就職の内定ももらっていた。

 成人式前に同じゼミ生である駒川汐里に告白し、彼女と恋人同士であったが、いまや彼の気持ちは完全に彼女の親友である鈴木梨緒に移ってしまっていた。それは、女は顔よりフィーリングの方が大切だと実感したためである。事件当時、表向きの彼女である駒川汐里が、自分と梨緒とのことに気づいているとは夢にも思わず、2人の女に惚れられていると思い込み、両手に花な”いい気分”な状態であった。

 汐里を置いて、梨緒とともに新田野夫妻の車に乗って逃げる途中、「殺戮者」に襲撃され、その頬を素手で貫通させられ殺害。享年22才。

 事切れた彼の遺体は、新田野夫妻が乗る車とともに崖下にへと転落し炎上したため、黒焦げの状態となった。


●谷辺 千奈津(たにべ ちなつ)※「ここは安全地帯」に登場

 相田千郷の姉。我妻佐保と矢追(長倉)貴俊が、中牧東高校3年時の担任教師。

 6年前の10月、我妻佐保を標的とした身代金目的殺人未遂事件で、目の前で妹の千郷をA子に殺された。自分たちの罪を悔いたものの、妹をこれほどまでに苦しめた斗紀夫を許せず、斗紀夫の左脚に一生後遺症の残る大怪我を負わせ、出刃包丁で自らの喉を突き、自殺。35才で死亡。

 死出の旅へと赴く斗紀夫が川の中で見た彼女と相田千郷は、ただの幻であるのか、それとも……


●同級生の女

 6年前の8月4日、「Y市連続殺人事件」の発生日に町で舌無しコウモリに声をかけた女。本名は登場せず。当時はおそらく25才~26才。

 八窪真理恵、舌無しコウモリとは高校の同級生であった。特に八窪真理恵とは、同じ仲良しグループで行動をともにしていた様子であった。

 当時はアパレルに勤務していた。彼女の顔や肉体の素材は女性らしく、なかなかに魅力ではあったが、つかれた肌に粉っぽい化粧を施し、やや険のある目つきをしていた。彼女はいろいろと思い通りにならない現実(婚活等)にいらついていたらしく、八窪真理恵の離婚という”不幸”を、舌無しコウモリに嬉しそうに話した。いわゆるフレネミー。そのうえ、真理恵が自宅前でスーツ姿の男(彼女の4人目の男と思っていた白鳥学)と車に乗り込むところも盗撮し、舌無しコウモリに見せていた。

 彼女は、舌無しコウモリの殺意の引き金を”間接的に”引かせた人物の1人であった。だが、彼女がこのことを知ることはおそらくないだろう。

 ちなみに、隆平と真理恵の新婚時代に、横浜のマンションに遊びにいった友人たちの1人は彼女であると思われる。

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