「泉ののろい」その11……長いなあ
作業と集中力を中断させられて、驚いたのは、普段なんでもない顔をして問題を起こすアレキサンドラの方だった。
「このようなところへ、なにか急な御用向きでも? マグヌス殿」
後ろから声をかけられて、驚愕のあまりアレキサンドラの心音が異常を唱えはじめた。
「あっ、お水でもいかがですか? 栄養のいい泉の水ですよっ」
「気を遣うなリック、目立つだろう。いよいよか。偽宰相はどうしてる」
その台詞の前半はリッキーへの忠告だ。
リッキーは思わず手元の瓶に目をやった。
自信がややなくなった。本当に、王子のライラ付きだけで売れるのか、と……
「どうもしない。いつも通りだよ。ふふふ」
そこまで相方を無視した会話はどうかと思う。
「それより、あなた方に頼まれて欲しい事がある。やりようによってはこちらに被害は及ばない。悪い話ではないよ……」
そういうマグヌスを見上げ、ぼんやりとしながらアレキサンドラが立ち上がると、今まで心の中だけで思っていたことを尋ねた。
「偽宰相はあなたの知人か、それとも縁者なのか。少なくともその仰り方は彼の正体をご存じのようだ。そう思うがいかがか?」
「あなたのご質問には偽の……宰相マグヌムを退治してからお応えいたしましょう」
「マグヌム、というのだな? そいつの名は」
地金が出たアレキサンドラは敵愾心をあらわにして目を光らせて言う。
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