「泉ののろい」その10
サフィール王子は自信と同時にやる気まで失せてしまったようである。
そのさめた感じの王子はしばらく「物憂い」感じがいい、と娘達をわかせていたが、そんなことは関係ない。
そもそも、アレキサンドラの基本理念は、 「人間は役に立つかどうかが肝心」なのである。もっといえば、
「自分がどう役目を果たすことができるか、そのために役立てられるものはなにか」
なのだ。
……意外にも。
泉の水を売ったら小金に化ける、と言い出したのも彼女で。外国に売ればもっと顧客がついてバカ売れし、元手もなしに容器も回収。
半永久的に使える……と。しかしこれは彼女自身の案ではない。
昔、ルイ少年が持ちかけてきた作戦なのだ。
あのときは断ったが、彼女は、ルイという者、素晴らしい企画力の持ち主だ、と思ってはいる。
ただ飲用水としてはうまいのだが『若返りの泉の水』『もしかして不老長寿!』とラベルに堂々と書くのに抵抗があったのだ。
「考えてみると、問題は、なぜ偽宰相が王家を滅ぼさんとばかりに、王と王妃を泉に封印したのか。これ見よがしに呪(まじな)いの剣まで用意して」
「あやつのことなら、だれより私が知っている」
「マグヌス殿!」
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