プロローグ終わり
ルイはその様子にひゅっと息を止めた。
「おまえの親父さん、まだ……」
そう言って、心配そうにリッキーを見る。
「いいんだ。ルイ。父には父なりの人生がある。生きてくれればいいさ」
ああ、それだから目が離せない。
ルイはじっとじっと、黙ってから聞く。
いいのかよ、と。
「いいのかよ、リッキー? お袋さんは……?」
「母はボクがお嫌いなのだ。ボクが醜いから」
もう何度も繰り返された問答に、ルイは肩をおとし、涙ぐんでいう。
「おまえ、絶対にそんなことねえよ!」
「ありがとう、やっぱり優しいね、ルイ。いいんだ。さあ、帰ろう」
× × ×
城下にさしかかった頃、ふたりの目には、眩いばかりの意匠を凝らした身なりの子供が映った。
「金持ちかな。絶対そうだな」
「少女人形のようだね。ちょっとかわいい」
「色が白いな。オレ達とは違うな。名前なんていうんだろ」
「前にも見かけたけど、誰も知らないんだ。親しい子もいないみたい」
「どこの王子様だよ」
「しっ! 王族の噂は厳禁だ」
リッキーが言うので、ルイは急いで口を閉じて、肉付きの薄い少女の後ろ姿を追いかけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます