第71話 共食い整備

飛行機という物は飛ぶたびにあちこち壊れるらしく頻繁に部品が請求され供用されます。

部品が部隊に行くまでの流れは大まかに、

メーカーの工場→補給処(物流拠点で、AMAZONの倉庫のようなものと思って頂ければいいです。複数あります。)→各基地の倉庫→各部隊へ供用

といった感じです。

では基地の倉庫にも補給処にもメーカーにも部品の在庫がなかったらどうするか?(このような状況をA/J=0(AJ/0だったかも)とか言ってた記憶があります。All japan zero 日本のどこにも在庫ないですって意味の略語だったかな?)


一つは部品が作られ納入されるまで待つ

大抵の場合はこれですが平時からアラート任務に就いている戦闘機となるとそうにもいきません。

ではどうするか?

正解は飛んでない他の機体から部品を取ってくる。はい所謂共食い整備ってやつです。


部隊に配属されて1年以上はたったくらいのある日、いつものように仕事が

どうやらどこぞの基地のF-15のとある部品が故障したらしいのですがどこにも在庫がないそうです。

そこでこの基地に教材用として置いてあるF-15(ちなみに教材機は各飛行隊の機体と持ち回り(?)で定期的に入れ替わる本物の戦闘機で置物のモックアップではないです)から部品をひっぺがして交換しようってことらしいです。

ええ、共食い整備するまで落ち込んでるのかよとビックリしましたね。


退職してから某掲示板に「日本の15は稼働率抜群で他国と違って共食い整備などしない」と書いているネット参謀殿がおられましたので「空自でも共食い整備やってるけど?」と真実を上申しましたら参謀殿にデマ吐き売国奴認定されたのは良い思い出(?)です。


2018年頃になって元補給本部長の尾上氏が部品不足でF-15の稼働率が悪化して共食い整備でやりくりしていると告白した記事を読んでああやっぱり共食いは常態化したのねと一人納得しました。


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