第37話 三次試験 三日目まで
S基地に着くと五日間生活する外来に案内されました。パーテーションで区切られた二人部屋です。しかもシャワーに冷蔵庫まであります。まあシャワーは使用禁止なんですがそれでもVIP待遇です。まあ大半の受験者は外の学生さんですから適当な営内の空き部屋にブチ込むわけにもいかないですしね。
その日は簡単な事前教育を受けて終わりました。試験期間中の食事や入浴はもちろん基地内で済ませます。食堂は小さいですが味は美味しかったです。浴場はすごい狭くてちょっとびっくりしました。確かあまりに狭いので前段と後段の二組に分かれて入った記憶があります。試験期間中困ったことは糖分を摂ると医学検査に引っかかるのとそもそも小さな売店と自販機しかなくてジュースや菓子があまり飲み食いできなかったことですね。
二日目からは識別帽とPスーツ(搭乗員が着るツナギ)を着用し、航空靴を履いて受験することとなります。見てくれだけは航空機搭乗員です。
「なにこれすげえw」航空靴には感動しましたね。普段履いていた1種編上靴と違って中にクッションが入っていて履き心地最高です。ちなみに1種編上靴はよくネットで叩かれる陸自の半長靴より超絶糞です。
二日目は主に面接用の書類を書いたり、飛行試験に備えての準備教育でした。
飛行試験の際に着用する救難ベストやパラシュート等の教育を受けます。救難装具品の指導をする人は自衛官ではなく基地に常駐している某社の方です。ここでは整備を常駐しているメーカーにアウトソーシングしているそうです。パラシュートは20㎏か30㎏ほどあり結構重かったです。それ以上に股のベルトがキツかったです。飛行試験で乗る航空機には当然ながら射出座席がないので直接パラシュートを装備していくのです。脱出方法はシンプル、キャノピーを手で開けてダイブ。これだけです。
「万が一のことが起きて脱出する際は主翼めがけて思いきり飛び込んでください。中途半端にすると尾翼に当たって即死するからね。」うわー超こわ
「あとキツいからって股間のベルト緩くしたらダメだよ。ユルユルだとパラシュート開いたときにキンタマがベルトで潰れるからね(笑)」ひえええええ…
また、飛行試験の内容やそれの予習に使える教材が配布されたりしました。明日はいよいよフライトです。
三日目まさかの雨です。フライトは明日に延期となりました。三日目は確かひたすら待機してたような記憶があります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます