第25話 実弾射撃
実弾射撃はA基地に射場がないため他所の駐屯地や基地で実施します。A中隊はとある駐屯地で実施することとなりました。もちろん移動はバスです。
駐屯地に着きました。あたりは戦闘服を着た陸上自衛官でいっぱいです。「うおおすげえ本物の自衛隊いるー」いや俺たちも一応自衛官だからね
バスは射場の前で停まりました。鉄筋コンクリートで出来た300mほどの長さの大きな屋内射場です。
射場に入れる人数にも限りがあるので何人かに分けて射撃を実施します。後の人間は補助もしくは待機です。最高ですね。自衛隊にいると何もせず待機という場面が多々あります。
「なんか向こうで区隊長とX区隊長が(規制)でこんなんやって遊んでたwww」嗚呼、今日も自衛隊は平和です。
長々と待ってようやく自分たちの番です。射場の中は予想してたより結構広かったです。的が遥か遠くに見えます。弾を弾倉に込め、弾倉を洗面器に入れコーチとともに位置につきます。コーチとは射手の補助ー例えば弾倉を渡す、スライド(ここでは槓桿のことをこう呼びます)を引く、何発撃ったかカウント等ーをする係です。
号令がかかり銃の位置まで移動します。随時射撃幹部の指示に従い弾込め等をしていよいよ射撃です。
「撃て!」ドン!ドン!… 最初はまずゼロ点規制といって試しで撃って結果をもとにクリック修正(照準器の位置を適切な位置に調節する行為)をします。ちなみに着弾点は横のブラウン管モニターに表示されます。見ると全弾左上の三点圏内に集中して当たっていました。本番からは右下に狙いが来るように修正してやれば全弾五点…のはずでした。
「あれ?」見事に全弾外れました。クリック修正を逆にしたと思いさっきとは逆に二倍分修正しました。これで当たるはず。
全弾外れ あれぇ!? 丘people!? コーチも焦っています。君が焦ってどうする かくなるうえはクリックをすべてゼロ位置にし、的の四隅を狙う作戦です。これで一発は当たるはず当たりませんでした。
「〇〇お前何点だった?」
「0点」
「うっそだろお前w」案の定このざまです。でも他にも0点の人間ちらほらいて安心しました。ほら見ろ出戻りのJさんも0点じゃないか 悪いのは俺のせいじゃない、あの64式とかいう半世紀前のホビットジャップに合わせて作られた時代遅れの銃のせいなんだ。照門なんか近すぎて首を無理やり後ろに持っていかないと教科書通りの見出しにならないじゃないかクソッタレが…などと心の中で言い訳したのを覚えています。
「ベシッ!」後ろから誰かに叩かれました。
「痛ってーな!誰や!」そう言いながら振り向くと班長が笑いながらバインダーで叩いてきてました。うわあすみませーん
そんなこんなで人生最初の実弾射撃はクソミソな結果に終わったのでした。
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