第7話 予備自衛官補 A その2

「とんでもないところに来てしまった そう思ってるだろお前ら」

仰るとおりです教官殿。しかしながら3日ほどたてばある程度は順応するものです。楽しみも見つけました。まあ課業後にPXで買ったアクエ○アスを一気飲みすることだけなんですがね。


それほど予備自補の訓練では汗をかきましたね。

「汗かいた戦闘服は次の日に塩で白くなるから毎日洗濯するように」

最初は嘘だろと思ってました。まあ洗濯とプレスは言われたとおりに毎日していたので気づかなかったのですが、ある日外での訓練の後に座学がありました。座学中は上衣を脱ぐよう指示されたので脱ぎ、座学終了時に着用しようと手に取ると戦闘服の背中に白マジックでぐちゃぐちゃに書きなぐったような跡が。

そうかこれが塩か…

皆似たような状態になったらしく午後からはもう1着の戦闘服を着てくるよう指示されました。今夜はプレス祭です。


何度もいいますがこの頃が一番キツかったです。手を洗いに洗面所に行き、ふと鏡を見ると迷彩服を着て髪を坊主寸前のスポーツ刈りにした自分の姿が

俺、何やってるんだろう…


でも正直迷彩服着て半長靴を履いてみてうひょーと感動したのも確かです。縦隊で行進する時なんか兵士になったみたいで感激しましたね。特に着剣した64式小銃を担え銃(銃を右肩に担ぐ携行の仕方)して大勢で行進している時は戦列歩兵の気分でしたね。


何だかんだで5日が過ぎてA課程の修了を迎えました。自分含め半数はこのままB課程に入るのですが10日も休みを取れない人やA課程でしんどいと感じた人達は離隊していきました。


その日の夜(次の日だったかもしれない)はすぐそばで花火大会があり、教官達の粋な計らいで眺めのよい隊舎の一室で花火を見ることができました。ああやっぱり10日ぶっ通しで正解だったなと感じたのを覚えています。

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