第6話 予備自衛官補 A その1

目が、覚めました。時刻は0550

自衛隊は基本的に0600起床で予備自補も同じです。あー、今日から訓練か何すんのかななどと考えていると0600になりました。


起床ラッパが鳴りました。

自衛隊では起床時刻と同時に起床ラッパというラッパの音が流れます。これを何回か聞くと就寝中にこれを聞くだけで飛び起きる体になります。元自の友達とオールしてる時に相手が寝てしまったら耳元で鳴らしてやると確実に起きました。もちろん怒られました。


皆急いで起きました。

「起床!起床!はよしろ!」教官の怒声とどこからかドガーンという何か金属を殴ったような音がしてきました。

うわあ軍隊かよ。軍隊です。

初日はジャージのまま廊下に並んで点呼をとった記憶があります。

「番号ー初め!」

「イチ!ニ!サン!シ!ゴ!ロク!『ナナ!』ハチ!…」

「おい!」その教官の声に一同凍りました。

「ナナってなんや シチやろが!」

そこまで教わってませんとは誰も言えません。まあこのくらいは皆想定内、番号を数え直し点呼が終わりました。


予備自補は記憶があやふやなのと当時のメモが訓練中に雨でふやけてそのまま捨ててしまったので時系列通りに詳しくお話することは無理ですが書き続けていきます。


当時自分はAB両課程をまとめて修了する10日間のコースを選びました。最初の5日間は主に各個教練を行った記憶があります。また小銃を携行して匍匐の訓練も実施しました。


匍匐前進は大まかに第一から第五までの五種類があります


第一…左手と左膝をつきながら移動

第二…第一から更に尻をつく

第三…更に左脇腹をつく

第四…例のアレ

第五…例のアレから更にべったり体をつける


真夏だったので地獄でしたね。自分は暑いのが何より苦手なので後の曹候補生の教育期間よりもこの予備自補の訓練の方がキツかったです。

…まあ暑さ抜きにしても予備自補の方が色々キツかったですが。


水分の制限も当初は厳しかったです。満水の水筒を腰につけていたのですが

「いいかその水筒の水は自分のためにあるんじゃない。誰かを助けるためにあるんだ。仮に飲むとしてもフタ一杯(ショットグラス半分くらいが)だ。」

うわあこれは厳しい。さてどうやって水を確保しようか。そう考えていたらまた自分の番がやって来た。

「○番ー!」自分の固有番号を叫びながら早駆けし、匍匐に移行する。第一から第五まで終えるとまた早駆けに移行するのだがしばらく地面に這いつくばって待機となる。その時何かをひらめいた。


地面の雑草に息吹きかけて結露作ってそれなめればいいんじゃね?


俺天才(バカ) そして早速実行

雑草の結露OC(た○ぞう並感)

そしてすぐ早駆け 皆奇声を上げながら走った。


数十分後、水筒の水飲んでもいい命令が発動され自分のひらめきは無駄と化したのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る