すずめの神社

Enju

第1話 雀のいる町

関東平野の片隅にあるその町は、隣町との間を流れている川から水を引いた用水路がたくさんあり、町の土地の半分くらいは田んぼだったように思います。


水田に実った稲穂は雀の大好物。

所々に残る木や竹林は彼らの恰好のねぐらとなり、その町にはたくさんの雀が住み着いておりました。


ぼくの通っていた小学校は、田んぼからは少し離れていましたが、それでも年に数回、雀が窓から教室に飛び込んでくるという珍事が起きていました。


教室に迷い込んだ雀は、運が良ければ再度窓をくぐって外に飛び出して行きますが、多くは壁や天井にぶつかって傷つき、死んでしまいます。


死んだ雀は大抵の場合「先生が供養します」と言ってどこかに持っていかれます。

おそらく、わら半紙や新聞紙に包んで焼却炉で燃やすのでしょう。


もしも教室に先生が居らず、子供が雀の亡骸を手にした場合……それは『すずめの神社』に埋めるのが、子供達の間での決まりでした。

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