【表現】心中胸裏シンキング

 ツイッターで見かけて、何となく考えてみた。

 何かというと、心の声の話。丸括弧を使うのと、ダッシュを使うのと、地の文で素直に表現するのと同じくらいの割合で使っている人が、統一すべきなのか否か迷っているのを見たわけ。


 まあ実際三つのどれも表現として特徴があって、それぞれ良さも悪さもあるわけだから、迷うのも作者の仕事なのは確か。とはいえ、何の指標もなく迷うのでは「下手の考え休むに似たり」と一緒だから、何らかの指標は持っておきたいよね。で、その指標の一つになるんじゃないかと思って、コノハズクも考えてみた。


 まずコノハズク的な考えを言わせてもらうと、丸括弧は注釈とか補足に使う印象で、心の声の表現に使うというイメージがあまりない。考えてみればその手の丸括弧を小説で見ることは稀だ。きっと小説を書く人の共通認識として、丸括弧は心の声を表すものではないのだろう。しかし、ゲームノベルのようないわゆる「小説という形をとっていないもの」の中ではよく見かける気がする。

 小説とゲームノベルの違いを考えれば丸括弧の使い方の差も理解できるかもしれない。

 で、多分なのだけれど、ゲームノベルはテキスト表示領域が狭かったりして、文章を端的に表現する必要があるんじゃないかと思う。だから、丸括弧を使って「これは声に出してないよ」とわかりやすく伝えているんじゃないか。必要にかられての特殊な表現方法、それが丸括弧の心情描写の正体ってわけだ。小説で心の声を表現する丸括弧を見ないのは、丸括弧を使わずともいくらでも表現方法があるからなんだろうと思う。


 次にダッシュで表現するパターン。これは小説で見かけることがある。特に心情描写が長く続く中に一文だけ目立たせるように登場することが多い。一文だけ単独にしてダッシュで異質さを表すことで、その部分がキャラクターにとって重要なものであると示唆しているのだろう。

 そういう使い方を考えると、ダッシュは一つの文を切り取って目立たせる時に使えると想像できる。

 ただしそれは同時に、文章の流れをぶった切って区切りをつけることにもなる。文章の流れを意識するのであれば、目立たせるためだけにダッシュを使うのは逆効果かな。


 地の文で心の声を表現するのは汎用性があるからか、ほぼ全ての小説で見る。もちろん書き方には千差万別あるし、それ次第で丸括弧やダッシュが必要ないくらいの多様性を持っているけれど。

 ただ普通に使う分においては、地の文での心の声の表現は非常に簡単だ。簡単で、だからこそ目立たない。文章の調和を乱さないということでもあるし、読み手に特に注意してもらえないということでもある。キャラクターにとって重要な、キーワードとも呼ぶべき部分を「彼はこう思った」なんて簡単に表現してしまうと、読み手はそれを重要なことだキーワードだとは認識しない。フォントを使って太字斜字にでもしない限り目立たない。


 かの有名なハリーポッターシリーズの日本語版では、心の声に丸括弧やダッシュは使わなかったけれど、その代わりにフォントを使って自由に表現していた。ダッシュは補足に使っていたかな。英語の名残なのだろう。


 と、ここまで書いておいて、別にコノハズクが心の声の書き方についてよく知っているというわけでもない。指標にはなるかと思って書いてみたけれど、あくまでコノハズクの感覚であるということを理解してほしいね。

 てわけで今回はこの辺で解散。

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