072 英語圏では太郎カード

 引き続き、タロットカードの話を。前回を読まなくても、内容は別なのでご自由にどうぞ。書き足りなかっただけです。

 タロットカードとトランプの最大の違いは大アルカナと呼ばれる、カード1枚1枚に名前のついた絵札があることでしょう。トランプは♠♣♥♦の4組にジョーカーの計53枚で構成されています。ジョーカーを2枚入れているデッキ(セット)もありますね。これが四季とうるう日を表している、なんて説もあります。52×7=364にジョーカーを足して1年。ジョーカーが2枚あれば、うるう年となる。

 タロットカードの小アルカナも4組ながら、ペイジ、ナイト(=ジャック)、クイーン、キングと枚数がひとつ多い。ペイジはナイト見習いといった身分です。それに大アルカナが22枚で構成されていて、0番の愚者から21番の世界のカードまで、ひとつひとつに名称がつけられている。これが主にタロット占いで見かけるやつです。

 ちなみにタロットはフランス語だとタローと読みます。TAROTと書くんですけれども、最後のTは発音しません。英語もこれにならって、タロウと発音する。Tまできちんと読むのは日本特有です。もともと舶来品ですし、そのあたり伝わりそびれたんでしょう。そのままオカルトブームに乗って、呼び名が定着しちゃいました。

 オカルトなんていうとアヤシイですけれど、ブラックボックスになっている、ということです。科学の新発見で、理論は不明だけれど結果は必ずそうなる、みたいなものもオカルトと呼べます。

 タロットカードは78枚が基本のスタイルで、マルセイユデッキはトランプに近い。マークだけの数札と大アルカナの組み合わせです。もうひとつの主流、ライダーウェイトは小アルカナの数札をすべて絵札へ変更したのが画期的でした。このふたつのデッキについては、前回でも軽く触れました。大アルカナの順番がライダーウェイトでは、マルセイユから変更されているのも特色です。

 もうひとつ、アレイスター・クロウリーという人物の作った、トート・タロットというのが有名です。トートはエジプト神話のトト神からとられています。諸説ありますが、いわゆる叡智の神様ですね。クロウリーは日本にも来たことがあって、各地のオカルト知識をごちゃまぜにして、ロンドンの男爵夫人に絵をかかせた。トートデッキはそのため、サイケデリックな風合いと魔術要素が濃く反映されています。生前は書籍の形で出版され、複数図案があったので、カード化された後もどれが決定稿か不明というデッキです。

 サマセット・モームの小説「魔術師」のモデルはクロウリーです。しかも完全に悪役。カードキャプターさくらでも、彼をモデルにしたカードとキャラクターが登場します。

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