タイトルをつけてください

068 ルビーとサファイア

　宝石のルビーとサファイアは、色合いこそ別々ながら、どちらもコランダムという同じ石です。石に混じり込んだ不純物のせいで色がつき、珍重されるようになります。純粋なコランダムにカラフルな色はついていません。結晶は透明。異物の混ざった石の方が宝物になるなんて、不思議じゃないですか？　しかも元をただせば同じ石なのに、色によって別々の名前がつけられているなんて。

　人間の価値観というのは、どんなちゃんとした、しっかりした人物に見えても適当なものです。わたしもうっかり、他人と比較して落ち込むことがあります。でも比べているのはある要素だけで、元をたどっていくと差なんて小さくなる。視野狭窄に陥っているのです。

　わたしは凹むたび、もう死んでしまいたいと考えるタイプです。でもどうやら、徳川家康も合戦になるとちょくちょく、もうダメだ敗戦だ、死ぬしかないと落ち込んでいたそうです。三方ヶ原の戦いで敗走したときなんて、恐怖から脱糞してます。悔しすぎて絵に残しているのですけれど――おや、待ってください。わたしと家康って、脱糞以外は似てませんか？　

　そりゃあわたしは天下布武を成してませんよ。でも家康は秀吉が亡くなってから、若い二代目にいちゃもんつけて、無理やり天下を取っている。大器晩成なんて、そんなものです。あとは脱糞すれば、ほぼわたしだって家康と同じですよ。しませんけどね。この部分についての励ましはいらないです。

　Uターンして、きれいなテーマへ戻しましょう。

　お風呂に入ると、シャンプーとリンスを間違える人っていますよね。うちのシャンプーは、ボトルも液体も透明です。リンスは使ってません。トリートメントは円筒形の容器に入っていて、コンディショナーは不透明ボトルと、どれも異なる見た目になっています。たまたま現在、この並びになっているのですけれど、わかりやすいので、ほぼ間違えない。

　ぼんやり考えごとをしているとルーチンすら間違えるので、うっかりやらかしたことはありますけれど、レアケースです。お風呂って、体を洗って入浴する以外にやることがない環境です。なのでついつい考えごとをしちゃう。アイデアをひらめくのも、お風呂場が多い。

　プロのイラストレーターさんと話したときも、リラックスしてくつろいでいるときや、お風呂でアイデアを思いつくと言っていました。イラストってビジュアルから発想するはずなので、考えているときは映像を思い浮かべているのでしょう。

　今、あなたが何を思い浮かべているか、当ててみせましょうか。