062 駅の自動販売機は、本すら売っている

 都市部の駅を利用したら、オートキオスクなる名前の自動販売機がありました。ひとつは袋入りのお菓子類で、これは駅以外でも見かけるかもしれませんね。もうひとつは、書籍の自動販売機でした。1冊1冊、透明の袋に小分けされて売られているのです。待ち時間の暇つぶしにどうぞ、という宣伝文句と一緒に。

 考えてみれば傷むものでもなし、本の自動販売機って悪くないアイデアです。情緒はゼロでも、効率はいい。どうせどこで買っても、そこまで値段が変わる品じゃないですし。中身をチェックできないので、完全にジャケ買いならぬ表紙買いになるのが弱点です。スペースの問題から置けて十数冊と、ラインナップが限られるのも厳しい。仕入れの目利きが重要です。

 新聞や雑誌などは、キオスクで買って読んだらそのまま座席上の網棚へ放置、なんて光景がかつては珍しくありませんでした。今はモラルの向上か、はたまた貧しくなったのか、あんまり見かけないですね。学生のころ、見知らぬ誰かさんが網棚に置いていった週刊漫画誌に、乗車中お世話になったことが、わたしはあります。見知らぬ人、その節はどうもありがとうございました。

 電車じゃみんな、スマートフォンの画面を食い入るように見てますから、雑誌もデジタル化したものへ移行したのでしょうか。エコといえばエコです。電気はどこからきてるのよ、ってところまで追求するのはお止しになって。電気は水と同じくらい重要なインフラですから。

 そうそう、2016年4月から電気の販売が自由化されて、いろんな業者が参入しています。携帯電話会社だったり、ケーブルテレビ会社だったり、ガス会社だったり。一時期、政府が助成金を出すというので太陽発電ブームが訪れたのですけれど、設備投資を回収するころにはパネルが経年劣化でダメになってるか、メンテナンス費用がかかって±ゼロ、っていうのがバレちゃったものだから、あまり浸透しませんでした。コストが劇的に下がるか、技術が進歩すればもっと一般に広まる可能性はあります。

 話を戻すと、かつて網棚へ読み終わった雑誌を置いていった層であれば、自動販売機の本を買って、読み捨てていく形が見込める。どうせなら新聞もおけばいいのに、と一瞬思ったものの、毎日中身を入れ替える手間を考えたら店員のいるキオスクの方が楽でしょう。

 スマホ充電器やSIMカードの自販機が駅ホームにあったら、地味に売れるかもしれないなー、と思います。

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