047 概念で、概念を買う
高級ブランドは、中身ではなくて、その名前に対して高いお金を払う、といった側面があります。もちろん、それなりにいい製品もありますけれど、不当だと感じられるほどに高い。でも売れる。それは、その名前のイメージにお金を出しているからです。
概念で、概念を買っている。考えてみれば、とても不思議な行為です。貨幣というのは、みんなが価値を暗黙の了解として認めているから通用するのであって、物自体には価値はさほどない。美術品としても流通量が多すぎて、大した値打ちは出ないでしょう。基本的に、価値というのは希少であればあるほど上がるものです。
概念というところでいうと、高級ブランドのロゴはどれもシンプルで、空き箱や紙袋、ショップの名前の入ったビニール袋なんて、それだけで商品になります。リサイクルショップで売っているのを見かけました。
マクドナルドの売り上げが下がってしまったのは、ブランドイメージが安くなってしまったからで、これを元通りにするのは困難です。人の頭って、固いんですよ。だから一度イメージが定着してしまうと、切り替えができない。これをフラットな状態で、行ったり来たり切り替えられるのが、頭の良さの条件に数えられます。普通は、そうそうできないです。
ものの値段というのは、実のところあってないようなもの。無価値という意味じゃありません。決まった尺度がないので、人によって変動してしまう、ということです。
市場だったり、ネットオークションが買い物の本質に近いでしょうか。見る人が見れば、価値がわかる。でもその尺度、価値を理解するためのものさしを自分の中で養うには、一朝一夕とはいかない。
高級品は、相対的にものがいい。だから本質で勝負できる。売る側だって強気です。いくら買う側が価値を認めなくても、本質は揺るぎません。値下がりしないどころか、時間の経過とともに上がる一方。ただし、売り手である持ち主を含めて、それを欲しいと思う人がいれば、の話です。
高級ブランドは、実は一般消費者が買えるのだから、高級といってもそれほどじゃない。本当にいいものって、持っている人が売ってくれないんですよ。頼み込んでも、なかなか。お金の問題じゃない、なんて突っぱねられてしまう。思い出を売ってほしい、と持ち掛けられているのと同義です。
高く見せかけることはできます。無駄をそぎ落とし、本質だけで勝負しているポーズをとれば。
でも、ものには相場がある。いわゆる人気投票です。相場と自分の中のものさしを見比べて、納得できる人だけが買い物上手になれます。
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