039 最もいい服は、思い入れのない服

 わたくし、寝るときはパジャマに着替えるタイプで、スウェットを持ってないわけじゃないんですが、あまり着ません。でも着替えずに寝落ちしてしまうこともあるよ。家の中なら、どこで眠っても怒られない。でも路上だと怒られる。そこが、家と道路の違いです。あと道路は車が通れる。便利なので、みんな使おう!

 セールで投げ売りされていると、うっかり服とか靴とか買ってしまいます。でも昔と今では流行も違うし、だんだん自分の持っている洋服に飽きてきたりして。じゃあもう着ない! 裸で過ごす、と思ったことは一度もないです。

 物持ちがいいのか、単に処分するのが好きじゃないからか、昔買った服を長らく持っています。傷んできたやつは、さすがに捨てますけどね。気に入っているデザインの服ほど、着る回数が少なくなる。洗濯したら布地が傷むと思うと、袖を通すのにためらいが生じて、いい気分のときだけ着ています。あとはコーディネートによりけり。

 学生時代は英語で文字が書かれている服を、しばしば着ていました。ここ数年は、顔やら動物やらがデザインされているのが好みで、以前からある服への扱いがゆるくなってきました。そうなると、当時はお気に入りで大事にしていたものも、普通に着るようになる。むしろ思い入れのない服の方が、普段着にはいいのかもしれません。

 大事にしているから、とっておく。気に入っているから、ちょくちょく着る。どちらが正しいということはないんですよね。自分の気が済むようにすればいい。

 服は着るためのものです。知人にファッション好きがいて、服を集めているんですが、もちろん体はひとつしかない。いくら好きな服がいっぱいあっても、一度に着られるのは一着だけです。一日というスパンなら複数回、着替えれば何着か袖を通せますけど、億劫ですからわたしには続けられないでしょう。せいぜい寝間着と室内着、外出着くらいです。

 体形が変わってしまったり、年齢を重ねるにつれて、ファッションは移ろいます。その時々に最もいいと思ったものを選ぶのが、賢いやり方なのでしょう。でも、持っている服すべてがお気に入りなんて、何を着たらいいか困りませんか?

 翌日何を着るか、前日に用意することもあれば、当日決めることもあって、わたしはそのあたりいい加減です。なので、いざ出かけるぞ、となったときに迷いたくない。優柔不断なので、決めるのに時間がかかる。

 どこまでいっても、服装は装飾です。本質は別にある。裸の王様こそ、真のファッションリーダーなのです。さあみんな、服を脱いで街へくりだそう!

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