032 軍師じゃー! 軍師を呼べーい!

 フランスに、カルカソンヌという名前の城塞都市があります。現在は世界遺産の観光地になっていて、侵略を免れたために現存している都市です。正確には侵略された歴史もあるのですが、なにせ小さい街ですから。

 同名のボードゲームもあります。パネルを組み合わせて領地を広げていくゲームです。もちろん、実在の町がモチーフとなっています。いつか遊んでみたい。But、なかなかチャンスに恵まれません。面白いとの評判を目にしてます。

 日本にも城はあります。でも、城塞都市と呼べるほどのものはないですね。海外でも中世あたりから廃れていきます。意味がなくなっちゃったんです。

 壁で街ごと取り囲んで、外敵を防ぐという発想が城塞都市の根幹です。さて、ここで問題。あなたが壁で囲まれた都市を攻め落とすとしたら、どんな手段をとりますか?

 これが日本で城塞都市が発展しなかった理由にもなるのですが、海外の場合、技術が発展したのが最大の要因でした。壁があるなら壊せばいい。そう、大砲の登場です。がんばって壁を築いても、穴をあけられたら無意味です。しかも敵は安全な距離から砲弾を撃ってくる。中にこもっていたのでは狙い撃ちです。

 日本は火縄銃こそ伝わりましたが、歩兵に弓兵、騎馬あたりが主力で、鉄砲隊は最新鋭。どこの軍でも持っているわけじゃありません。なので石垣が発展しました。日本の城は歩兵にはめっぽう強いですが、石垣を大砲で崩されたらひとたまりもない。でも、そこまで兵器が進化する前に、天下泰平がなされちゃいました。信長、秀吉、家康と段階を踏んで、国がひとつにまとめられてしまった。

 さて、戦争が終わると、権力者からすれば下手に城があちこちにあっても困る。無用の長物だし、反乱を起こされたとき、根城にされる危険性があった。戦国時代という一発逆転の時代は去ってしまったのです。

 一方でヨーロッパといえば、1800年代に入っても国同士で戦争してますし、領土の境界線もころころ変わっていました。徳川幕府みたいな、250年もひとつの権力者が世を治めている国は、世界的に見ても珍しいんです。島国でよかった、わーい。

 日本の城は、大砲がないので兵糧攻めや水攻めがメジャーでしょう。水攻めなんて、アジアならではだと思います。中東じゃ、やりたくたってできない。安全できれいな水は貴重品。水道の水がそのまま飲める国は、世界に十数か国しかないそうです。

 スペインなど、一部ヨーロッパはイスラム勢力が侵攻して、土地を奪われていた時期があったので、砦や城にイスラム文化の名残が見てとれますね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る