031 尊敬する、というほどではないかもしれない話
尊敬する人物は誰ですか? なんて小さいころに質問されて、答える機会がありました。いない、というのが正確なところです。もうこの世には存在していない。
歴史上の人物をあげる人がいますけれど、実態はどうだったのかわからない。だから想像することで、どんどんいい部分だけが妄想として脳内で誇張され、それはそれは大きな翼になってしまう。真っ白で美しく、あたたかい。
あるいはドラマや伝記などで触れることもあり得ます。それだって、ファンタジーの一種と言えなくもないです。残した業績はすばらしいにしても、人格まではなんとも言い難い。そう考えると、尊敬する人物なんて出会える方がラッキーじゃないでしょうか。
なんて書いておきながら、わたしはしいて言うなら祖父を尊敬しています。母方の祖父です。なにせ、わたしが生まれたときには父方の両親は亡くなっていましたし、父は自分の両親を嫌悪していましたから。
母が結婚にあたって、亡くなった父の両親の墓参りをしたとき、父は車の中で待っていたとか。墓前にすら顔を見せたくないくらいですから、まあ、相当な確執があったのでしょう。実際、父から自分の両親がどんな人物だったか、具体的に聞いたことはありません。愚痴めいたもの、苦労話めいたものは聞いた気がしますが、思い出したくもない、といった感じでした。
母方の両親、つまり祖父母はわたしが生まれたときには健在でしたから、どんな人物か、なんとなく知っています。母から聞いた限りだと、わたしのイメージとはまったく別人で、こちらはこちらでいろいろあったみたいです。
自分の父親に対する印象を母から聞いた感じだと、しょうがない人、といった感じです。なにせ私財をなげうって、徳川埋蔵金を知人と大真面目に探していたというのですから。無駄遣いして、そんな余裕があるなら小遣いのひとつもくれよ、と母は思っていたみたいです。そんなような愚痴を聞いた記憶が、うっすら残っています。わかる。気持ちはわかります。
他にも模造刀が小さいころ、物置にあったんですが、これは子供のおもちゃにしていいものか幼いながら迷った末に、本当に怪我したら怖いから、という理由で触りませんでした。振り回して壊しでもしたら、叱られるくらいはしたでしょう。
そのかわり、エアコンを分解して遊んでいました。こっちは怒られなかった。あと祖父の家にはえっちな少女漫画が置いてあったりして、子供心にどきどきしたのを覚えています。早熟とは真逆に育ちましたけどね。
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