018 いい人形は語りかけてくる
いい人形は語りかけてくる、と人に話したら怖がられてしまったわたしです。どうやら相手には怪談話として伝わってしまったようで、すぐに誤解を解く羽目になったのですが、自分の周囲には人形が好きという人が少なくて、若干引き気味に接せられています。
パソコンモニターを置いている手前にも、グラフィグという、頭が直方体をしたカクカクのフィギュアが飾られています。10体以上いるでしょうか。数えていないのでわかりません。マトリョーシカも置いてあります。残念ながら、マトリョーシカは広げて飾るスペースがなくて、中にしまわれたまま、一体として出しています。
ただし例外があって、龍のマトリョーシカは、だんだんサイズが小さくなるタイプのものではなく、大きな人形の中に小さなドラゴンがたくさん入っているというスタイルなので、中身を出してあります。首と胴体を分離すると、体の中からミニドラゴンがわらわら出てくるのです。キャー! やっぱり今回ホラーじゃないですかあ! 人形の話は今後も出てくると思うので、あきらめてくださいませ。
あれで龍のマトリョーシカ、かわいいんですよ。とぼけた顔して、ニヒルなあいつ。
パソコンモニター手前のグラフィグも、家を訪れた友人が「いっぱいある……」って絶句してました。でもそんなにない。ちょっとしかないよ。いっぱいってほどじゃない。
グラフィグはプラスティック製で、どれも初音ミクなどのボーカロイド・シリーズのデザインがなされています。人形の下部をチェックすると、どうやらニコニコ動画の歌をモチーフにしているようなんですが、ひとつも視聴したことがありません。なので、どういう理由でデザインされているのか、まったく知らない。でも、そんなことはどうだっていいんですよ。
なぜなら判断基準は、価格もありますけれど、かわいかったり、おしゃれだったりがポイントだから。人形は飾ってうれしい、眺めて楽しい。触ってしあわせ。それくらいの機能しか持ち合わせていない。なんのために? と聞かれれば、いい気分になるため飾ってあるのです。
無駄の最たるものでしょう。でも、人はいい気分になるために生きているのですから、これほど価値あるものは存在しませぬぞ、殿下。出会え、出会えーい! ってなもんで、人形はひとつ手にすると、増殖するんです。どんどん増えて、ひしめいてくる。うひゃあ、怖いですねえ。またホラーに戻っちゃいました。
増える理由はもちろん、人形のせい――ではなくて人形を飾っている人間のせいです。
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