017 キャラメル一粒ぶんのサウンド

 雷が鳴っているとき、現在地からどれくらいの距離にあるか、おおよその長さをはかる方法があります。これは稲光を見たら秒数を数える。そして15秒なら5kmくらい離れていると判断できます。だいたい3秒で約1km。どうやって算出しているかというと、音速が1秒で330mくらいなので、秒数を計算すればわかるというしくみ。

 光は音よりも圧倒的に早いですが、おもしろいことに光も音も波として伝わります。ただし音は空気の振動なので、鳴ってから聞こえるまでに、空気の層を伝わって耳へと届く。これがタイムラグが発生する原因というわけです。

 音の振動は音波といいますが、光は光波よりも電磁波といった方が聞き覚えがあるかもしれません。電磁波は体に悪いなんてひとくくりにして、剣突を食わせる言説を見かけたことがあるんですが、太陽光だって電磁波ですからね。そりゃ紫外線をたくさん浴びるのは体によくないですが、程度の問題です。体にいいからって、水をたくさん飲めば水中毒になる。

 酸素だって、大気中の窒素の割合が高いから人間は普通に呼吸できてますけれど、酸素濃度が高すぎると人体に害を及ぼします。健康を害するのは食品じゃなくて、食事のバランスです。バランスを保てなければ、人は歩くことすらままならない。

 閑話休題。時間と空間は切り離せないもので、時空とひとまとまりにして言ったりします。雷との距離を把握する際に、時間と音から位置をつかむ。これは三次元として空間が成り立っているからで、重力が加われば、時間や空間もひずみます。

 ブラックホールは重力が強いので、宇宙船が吸い込まれると、遠くからは止まって見えます。人が吸い込まれたら時間の流れが止まって見える、なんてことはなくて、四肢がバラバラにちぎれて死んでしまうので、人間が吸い込まれながら観測するのは不可能でしょう。

 国内ではかるより、赤道付近で体重をはかると軽くなるんですが、あれは地球の中心から最も遠いポイントのひとつなので、重力の影響が日本にいるより弱まるからです。痩せたければ、ダイエットより観測点を変えましょう。移動するエネルギーを痩せる方へ消費すれば、どこにも行かずにスリムになれますが、どこでどのように対象を観測するか、つまり相手をどう見るかで、見え方もガラッと変わってしまう。

 加えて対象にどれだけ影響を及ぼさずに観測するかは、とても重要な問題です。観測する側の視点と、観測される側の視点を俯瞰で把握できれば、それが望ましいですね。

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