013 合言葉はトラスト・ミー
英語の辞書にある発音記号は、音を文字にしたものなのでどうしても表現に限界があります。たとえば『cab』はタクシーのことですが、発音をカタカナにするとケェァブが近いです。一方で、小屋や乗り物についている部屋を指す単語『cabin』は、カタカナだとキャビンです。文字上ですが、なんとなく違いが伝わっているでしょうか。
頭の文字はどちらも『ca』で、発音記号は<kæ>です。共通しています。でも実際は、結構異なる音ですよね。
2020年から、小学校の授業に英語を入れる方針を文部科学省が明らかにしています。4年後の話ながら、高学年から本格的に授業として学習させよう、という方針だとか。
さて、日本語については辞書に発音記号がなくても、ふりがなさえあれば読めます。イントネーションの違いはあるにせよ、伝わらないということはないでしょう。しかし英語についてはあやしいです。
もし自分が小学生だったら混乱するだろうな、と想像して書いています。ネイティブスピーカーの先生から教わっても、英語だってなまりはあります。イギリス英語、アメリカ英語、シングリッシュとよばれるシンガポール英語などなど。
日本でも、英語を話せる人が増えたなら、ジャパニーズ・イングリッシュとして独自英語に発展するでしょう。そのときは、経済的には安定していても、日本に外国人がたくさん住むようになって、日本人という言葉の定義が変化しているかもしれませんね。これは良し悪しの話ではなく、そうなるのが自然な流れでは、というひとつの想定です。
不文律となっている、道徳的なルールについても、欧米準拠になるかもしれません。英語を第二の母語として話すって、つまりそういうことでしょう? 日本語を広めれば、日本が発信地になりますから、パワーバランスは逆転します。
なにより、ものを考えたあとで、他者へ説明するためには言語が不可欠。言葉なくして、違う文化圏の人に説明はできません。
知れば知るほど、知らなかったんです、で通ってしまう状況は狭まります。そうなると、なぜそのルールなのか、という部分についても切り込んでいかなければなりません。そして気づくわけです。そういう決まりごとは、理屈の部分もあるけれど結局あいまいな、気分や気持ちによって決められている要素も大きいのだと。いい加減なもんなんです、人間って。
しかし、あいまいな世界を切り取って、形にしてくれるのが言葉です。確かなことは、わたしがあなたに言葉によって語りかけている、という事実だけ。さあ、わたしを信じて、ぜひこの聖水を買ってください。20mlで500万円のところ、十分以内にお申し込みの方限定で300万円におまけします。
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