012 やる気を出す方法、または空気を食う気の人

 空気は読むものじゃない、作るものだなんていう人がいます。そういう人に限って、場をいい雰囲気にしようというのではなく、自分の我を通そうという趣旨の言説に見えてしまって、その発言だけで一歩引いた気持ちにさせられてしまうんですよねー。政治力としては必要ですけれど、空気を作るのは二流のやり方だと考えています。一流は、はじめから自分の望むムードにしてしまうし、望まない方向に進みそうなら、問題が発生する前に自然と修正しているものなんですよ。

 空気は作るものだ! なんて聞いて感心した覚えのあるあなた。なるほど、それもそうか、と思っている状態こそが、いいように乗せられているとは思いませんでしたか? ようし、やるぞ! という気持ちに水を浴びせるようで、なんだか忍びないですが……。

 まさに相手の食う気の餌食です。これは空気とかけたダジャレであって、ごにょごにょ。話変えましょっか。ね?

 以前、知人に「そのやる気はどこからくるの?」と尋ねたことがあります。わたくしポンコツなので、エンジンのかかり具合にむらっけがあるのです。なので、どーも腰が重い。わたしがもし魚だったら、もっと軽かったでしょうね。なにせ腰がないですもん。だがエビよ、きみは別だ!

 知人はそれに対し「やりたいと思う。で気持ちにこう、ぐわーっと火がつく」みたいな説明をしてくれました。そのときは、なるほど。わからん! と思ったんですが、今ならわかる気がします。

 気持ちというのは、まず自分の中に欲求が生まれる。そしてその欲求について思いを巡らせているうちに、頭の中に占める割合が増えてくる。自分で自分に対して、気持ちの種を育てるよう働きかけていき、フラストレーションがたまったところで、解放するために行動へ出る。そのサイクルが早いか遅いかは、せっかちな性分だったり、のんびりだったりスタイルによって異なります。

 いずれにせよ、やる気を出すには、そのことばかり考えて、かつ行動できるのにしていない状態に自分を置くのがいいでしょう。ストレスをかけるほど、どかーんと行動したくなります。ただし、せいぜい5分くらいで何らかのアクションを起こすのがいいでしょう。規模は小さくていいです。大きいのはむしろダメ。

 人間の心は、遠くの未来についてはアバウトになるようできています。これは狩猟生活をしていた頃の名残。明日会いましょう、なら信じても10年後に会いましょう、はいくら恋人に言われたって話半分にしか聞けないでしょう? 時間をかければよくなる、なんて誰が保証してくれるんですか。

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