おまけ① 朱花と祐人の困った話
おまけ①朱花と祐人の困った話
朱花「祐人さん、祐人さん」
祐人「なんだ、朱花」
朱花「祐人さんは最近、何か困ったことがありましたか?」
祐人「困ったことと言えば……そうだな、この前エロ本買ったんだけどさ」
朱花「はい」
祐人「俺ってエロ本は、表紙で決める派なんだよ。それで最近、すっごい俺好みの本があったんだよ」
朱花「それは良いことじゃないですか」
祐人「ああ、俺もそのときは期待と興奮がうなぎ上りでさ、即決で購入したんだよ。でもその本を開いたとき、問題を一つ見つけてしまってな……」
朱花「内容が祐人さんの好みではなかったのですか?」
祐人「いや、そんなことはない。エロ本ってのは、表紙でだいたい内容がわかるからそこであまり失敗はしないよ。それにその本は、内容としては最高の出来だった」
朱花「では何が困ったことだったのですか?」
祐人「それはな……その本のヒロインが、母さんと同じ名前だったんだよ……」
朱花「……それのどこに問題があるのですか?」
祐人「問題あるに決まってんだろ! いいか、朱花。男がエロ本買うってことは、それを使ってエロいことしようとしてるってことと同義なんだ。でもその本のヒロインが母親と同じだった……これがどういう事態かわかるか、朱花?」
朱花「皆目見当もつきません」
祐人「興奮できないんだよ……! いくらそのヒロインがエロくってもヒロインの名前が出てくるたびに母さんのことを思い出しちゃってすっごい
朱花「何をおっしゃっているのかわかりませんが……祐人さんが力説するということは、それほど重大なことなのでしょうね……」
祐人「そうなんだよ。まあその本は残念ながらそれ以上俺に読まれることなく、凌介にくれてやったが……内容が良かっただけに惜しいことをした……」
朱花「ヒロインの名前というのは、購入前にわからないものなのですか?」
祐人「裏表紙に書かれていることはあるし、ネットであらすじを調べればわかることも多いんだが……さっきも言ったように、俺は表紙で決める派だからな。全くと言っていいほど見ていなかった。だけど今回の件で、少しは考慮しようと思ったよ……」
朱花「当初想定していた用途として使えないとなると、たしかに困りますね」
祐人「そうだろ。今までヒロインの名前が母さんの名前とかぶったことなんてなかったから、余計ショックだったよ……」
朱花「千沙さんという名前は古風でなかなか見かけないですから、創作物とはいえたしかに珍しいですね」
祐人「朱花のお母さんは凪さんだったっけ? けっこう創作で出てきそうな名前だよな。エロ本買ったらよくかぶるんじゃないか?」
朱花「そもそも私はそういう本を購入しないので、問題はありません」
祐人「そっか」
小悪魔女子との魔法契約 鯉渕千尋 @sen_koibuchi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。小悪魔女子との魔法契約の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます