第18話
「畜生っ!!
これだから『鬼獣』出現予報なんて当てにならねえんだよ!!」
中年男性が苛立ちながら悪態をつく
「大規模攻勢まで発展したら、18地区内のコンビニ店で『在庫一掃セール』が
はじまるんじゃないでしょうね!」
若い女性が自動小銃のマガジンを交換しつつ問いかける
「・・・縁起でもない
それが始まる前には、まず『第一種防衛警報』が発令するだろう」
中年男性がM4カービンのチャージングハンドルを引き弾薬の装填を行いながら、
声を落として応える
その言葉が耳に届いた幾人かの通行人が銃器の点検を一瞬だけ止め、発言の主に
鋭い視線を向けていた
「『第一種防衛警報』が発令されると、近隣地区の小中高の授業は中止になり、
全ての学校は戦闘指揮所として指定されのよね?」
自動小銃の安全装置をかけた若い女性が確認するように質問をする
「『ファーストコンタクト』以降、学生どもは小中男女関係なく
『海兵隊訓練プログラム』が『義務教育』と定められたからな
高校以上から『レンジャー課程教育』が必修化されている
……ま、そのお陰で大学進学までに『空挺レンジャー資格』は今の世代は、
卒業後は取得している」
AK47ストックを握りしめていた男性が、口を挟む様に呟く
「それでも戦況が好転しなきゃ、18地区内の各コンビニで販売している
全種類の弾薬、銃、爆薬類が『1円』の『在庫一掃セール』が始まる
ま、俺たちみたいな貧乏人はありがたいと思うべきじゃないか?」
中年男性は苦笑いを浮かべつつ応えるが、その表情はどこか
諦めたような感じだ
「買える武器も安くなれば戦況も動く、戦況が動けば経済も動く
経済が動けば景気も良くなる、 景気が良くなると雇用も増えるし、
失業率も下がる
失業保険や生活保護受給者も減るし、自殺者も減少する・・・
ただし、『鬼獣』が死滅すればの話ね」
若い女性が冗談交じりに笑いつつ、すぐに真剣な眼差しになる
「日本国内の『ファーストコンタクト』以降で、すでに
三回戦術核が使用されたからなぁ
それでも日本は他国に比べたら被害は少ない方だ
『ファーストコンタクト』前の広島と長崎を入れたら、使用された
地域も限定されているが『五回』にもなる」
マクミラン TAC-50を整備していた別の男性も、会話に
加わりるように応える
「確か、使用されたのは『戦略核兵器』じゃなくて『戦術核』だよな」
中年男性が何かを思い出す様に、眉間にシワを寄せて
険しい表情を見せる
「えぇ、そうよ
何にせよ、日本全国都道府県に配備されている『戦術核』が
投入さる前には『日本国防軍』が出動するわね」
若い女性が真剣な眼差しで応える
「マジ勘弁してくれよ・・・『日本国防軍』は各国の派遣要請されても、
ほとんど最大激戦地にしか出撃しないからなぁ」
マクミラン TAC-50を整備していた別の男性が溜息をつきながら肩を落とす
その表情は一様にして暗い
若い女性は、慌てて話題を変える事にした
これ以上、この話を続けるのはまずいと思ったのだ
そして、ふっと上空を見上げると頸を傾げた
「あれ? やけに数が多いけど・・・自衛隊のCH-47 チヌークかしら?
交戦地点から撤退してきたのかしらね・・・それにしては、ちょっと
変だけど 何かあったのかな?」
若い女性の言葉を聞いて、その場にいた全員が空を見上げていた
視線の先には、CH-47 チヌークの大編隊が飛行していた
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