第16話
「尚文のおっちゃん!ワルサーP38は無いの!?」
迷彩服を着込んでいる男子大学生が、何処か切羽詰まった表情で、屋台に向かって叫ぶ
叫び声に反応したのか、尚文と呼ばれた店主が手を止め振り返った
その視線の先にいるのは男性大学生だ
「その商品は入荷待ちだ。
だが、代わりにM240機関銃やイングラムM10短機関銃があるぜ? 今なら予備弾倉もおまけで安くしておく」
尚文と呼ばれた店主が、掠れた声で言った
「……値段は?」
男性大学生が真剣な表情を浮かべながら尋ね返す
その問いに対して、尚文と呼ばれた店主はニヤリとした笑みを浮かべる
「今なら、8円だ!」
親指を立てて答えた
「高ぇ!?
その貌に、男性大学生が思わず叫んだ
尚文と呼ばれた店主は、その返答に呆れた態度をした
「俺の仕入れ先が
それに、お前さんはコンビニに行く途中なんだろ? コンビニまで走って行くより、ここで買って行った方が早いんじゃねぇのかい?」
尚文と言われた店主は、話にならないとばかりにヒラヒラと手を振った
逆の手で口にちくわを突っ込み、『ちくわ』を咀嚼する
その言葉を聞いた男子大学生は、悔しそうに歯噛みをした
そこに別の通行人が口を挟んできた
見てみた感じは小学生低学年の男の子だ
やはりというべきか、戦闘ヘルメットを被り、迷彩服を着込んでいる
その顔は、まだ幼いながらも精一杯大人ぶっていた
「尚文のおじちゃん、SAR21はありませんか?」
小学生低学年の男の子が尋ねた
「あるよ、金額は5円だ」
その言葉を聞いた尚文と言われた店主は、口元に笑みを浮かべつつ応えた
黒いサングラスをかけている眼の瞳の奥には、まるで獲物を狩るような
鋭い眼光が見え隠れしている
小学生低学年の男の子は、そんな事には気付かず、嬉しそうな貌を浮かべる
そして財布を取り出して中身を確認するが、 中に入っていた硬貨は1枚だけだった
「えっと、どうしよう・・・」
小学生低学年の男の子は、困ったような表情をする
その様子を見た尚文と呼ばれる店主はニヤリと笑い、手に持っていた『ちくわ』を口に放り込む
そして何かを考える素振りを見せると、何かを考える素振りを見せた
「坊主、ちょっと待ってな。
その金額なら・・・」
そう言って、店主は屋台の奥にいる人影に短く指示を出した
奥から姿を現した人物も、また妙な服装だった
貌を狐面のような物で隠しており、迷彩服の代わりに白装束を着用していた
何かのコスプレ大会でも出場していたのか・・と『彼』は思った
その人物は、木箱を抱えて屋台の前に立った
木箱の中には様々な銃器の他に、M67破片手榴弾が詰め込まれていた
それを店主に手渡すと、尚文と呼ばれた店主はそれを受け取った
「ほら、このセット商品だ」
と言って硬貨を受け取ると、そのまま木箱ごと小学生低学年の男の子に手渡した
「ありがとうございます!」
渡された子供は、目を輝かせながら受け取った
「おう、気を付けてな」
尚文と呼ばれた店主は、手を振りながら見送った
小学低学年の男の子は頭を軽く下げると、木箱を抱えながら『鬼獣』と交戦が行われているコンビニの方角へ走っていった
その様子を見ていた他の客は、
また貌を狐面のような物で隠し、白装束を着用している人物に対しても同じ反応だ
「お前さんはどうする?」
再び歯ぎしりをしている男性大学生に向き直りつつ、尚文と呼ばれた
店主は尋ねた
その口元はにやにやとしている
まるで面白いオモチャを見つけたかのような表情だ
「俺も、あっちで買った方が良いかなぁ?」
男性大学生は顎をしゃくるようにしてコンビニの方向を指し示した。
「そうだな、コンビニの方が安いだろうし、コンビニまで走った方が早いんじゃないか? ま、お前さんの足ならの話だがな」
尚文と呼ばれた店主は、鼻で笑うようにして言った
その態度に、男性大学生は少しムッとした表情になる
尚文と言われた店主は、そんな事はお構いなしに話を続ける
「ちなみに、今なら8円だからな!」
尚文と言われた店主は、親指を立てて応える
「やはり高ぇ!?
コンビニまで走って行くより、ここで買って行った方が早いんじゃねぇのかい?」
男性大学生は悔しそうに歯噛みしながら言った その問いに対して、尚文と呼ばれた店主は呆れたような表情をした
その貌には、まるで獲物を狩るような鋭い眼光が見え隠れしている
男性大学生もその視線に気が付かず、悔しそうな表情を浮かべる
「はたしてコンビニに商品が残っているかねぇ? コンビニに行く途中で遭遇するかもしれないぜ?」
尚文と言われた店主は、話にならないとばかりにヒラヒラと手を振った
再び逆の手で、袋に入っている『ちくわ』を取り出すと、口に放り込んで咀噛する
「畜生っ、買うよ!! 買いますよ!!
イングラムM10をください!!」
尚文と言われた店主の言葉に、男性大学生はヤケクソ気味に応える
「毎度あり!その素直さに免じて手榴弾もつけてやるよ」
尚文と呼ばれた店主は、歯を見せて笑みを浮かべた
別々の木箱の中から、イングラムM10とHG85手榴弾20個を取り出した
2つの商品をカウンターの上に置き、代金を受け取ると2つとも手渡した
受け取った男性大学生は、頭を下げて礼を言うと駆け出していった
その様子を見た尚文と呼ばれる店主は、満足そうな笑みを浮かべた
「――――はいはい、次のお客は?」
怪しい店主は、次なる
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