第7話
再びレジの方に、『彼』は視線を向けてみた
そこでは『戦闘ヘルメット』と『迷彩服』を着込んだ女性客が
商品の支払いをしている最中だった
女性客の後ろには、他の客達が列を作って並んでいた
どうやら、コンビニには他にも複数の店員がいるようだ
コンビニ店員も皆迷彩服を着用しており、胸元にネームプレートが付けられていた
ネームプレートに書かれている文字は、アルファベットで書かれてあった
並んでいる客達の中には、日本人だけではなく外国人の姿もあった
一人は白人男性で、もう一人は黒人の男性だ
二人は、何かを話し合っているが英語なため 、何を言っているのか理解できない
会話の内容は分からないが、何となくだが不穏な空気を『彼』は感じた
会計を行っている女性客は、何でもない様に一丁の銃器と実弾が入った箱を二つ、
レジのカウンターに置いた
その銃器の名は、M4カービンである
「合計で15円になります」
眼鏡をかけた若い男性店員が対応しながら言う
女性客は、財布から紙幣を取り出してそのまま支払いを行った
それを確認した後で、男性店員は銃器類と弾薬の代金を合計した
金額が書かれたレシートと、購入した銃器類のタグが付いた小さな
ビニール製の袋を手渡す
女性客は、支払いを済ませると購入した銃器と弾薬が入ったビニール製の袋を
受け取って、足早に店から出ていった
『彼』は、何か信じられない表情を浮かべる
支払いに身分身分証明書などを提示せずにあっさりと購入できる事に
驚いているのだ
しかも、彼女は当たり前のように銃器を購入している まるで、それが
普通であるかの様に
さらに、店内にいた他の客達も同様に銃器を購入しては、特に
何かを言うことなく店を出ていった
あまりにも自然な流れだ
「(とりあえず朝飯だけ買って状況を考えるしかなさそうだ。
まさかネット小説やラノベの様に何処かの『世界線』に
飛ばされたわけじゃあないだろうな。)」
と内心思いつつ、『彼』は頭を掻きながら考える。
たまに見るネット小説では、全般が異世界ものだ大抵の場合は、
トラックに轢かれたり、神を名乗る存在に会ったりと、何らかの
要因で別の世界に転移してしまうパターンが多く、そして、
主人公は特別な能力を手に入れたりする場合が多い
この様な現代世界のコンビニで、銃器類を販売している
作品などは読んだ事も見た事も『彼』はなかった
だが、今現在進行形で起きている出来事は紛れもない現実で、昨日まで
いた『世界線』とは全く異なる場所なのだと嫌でも
気付かされる
そんな事を考えながら、『彼』は銃を購入するかは置いといて
弁当などが置かれている棚に向かう
棚には、『彼』が知っているコンビニおにぎりや弁当類が置かれていた
値段も見れば、昨日までいた『世界線』のコンビニ標準価格と同じだった
陳列されている商品を見てみれば、賞味期限切れの商品や、廃棄処分となった
商品は見当たらない
試しに、弁当コーナーの方を覗いてみると、そこには見慣れた幕の
内弁当や焼き鳥、唐揚げなどが並べられていた
値札見ると、やはりコンビニ標準価格で売られていた
標準価格だけに、なぜ販売している銃器類が投げ売り
値段なのだろうか?と『彼』は思った
とりあえず朝食として『焼さけハラミ』のおにぎりとペットボトルの
お茶をを手に取ろうとしたとき―――
『射撃場コーナー』から二人組の男性が雑談をしつつ出てきた
二人の男性も、戦闘ヘルメットと迷彩服を着込んでいる
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