『3点!』『異時界人伝』 著者/空原琉火

書評レベル『辛口』


タイトル

『異時界人伝』 著者/空原琉火


キャッチコピー

『ゲームとリアルは違う、たとえそこが異世界だとしても…』


あらすじ

『日本の戦国時代とよく似た、しかし全く別の世界に来てしまった青年、武はなぜかある小さな国の領主となってしまう。歴史シュミレーションゲームで培った戦乱の世を渡り歩く知恵を駆使し、ゲームとリアルの違いに翻弄されながらも、青年は一国の長として異世界の統一を目指す。』


ジャンル

ファンタジー

セルフレイティング

残酷描写有り

タグ

戦記、戦国、獣人、異世界、三国志、戦争、和風、架空戦記

総文字数

57,333文字

公開日

2016年2月28日 23:54

最終更新日

2016年4月3日 19:00


────2016年04月06日10:50現在時点。


文章力★☆☆(★×1)読みやすさ

独創性★☆☆(★×1)オリジナリティ

娯楽性★☆☆(★×1)おもしろさ


────合計☆数『3点!』


 架空戦記で三国志もの、大大好物でございまする。だからこそいえることがあえるのよね。架空戦記好きが一度は思いつく設定(ネタ)ですわ。あとですね。訊きたいことがひとつ。著者さんや。『陰陽師』シリーズの『夢枕獏』さん好き? 地の文の語尾といいますか、頻繁に『である』や『~た』で終っているから、そう思いましたね。語尾の癖は素人がよくやるとです。『セリフ~。』も多い印象。私、小説の素人なんですといってるようなものだよ。気をつけましょう。


 さてはて。物語は三人称一元視点になるのかな。『ダブル主人公』という描き方をしております。仲の良さそうな『越智武おちたける』と『小日向翔真おびなたしようま』が謎の光を浴びて異世界へ誘われるところから物語は始まります。武と翔真。それぞれに異世界での出逢いを経て、苦悩しながらも活躍していく物語になっております。


 いいたいこと、分かるかい? 武が表で翔真が裏。一話交代で進んでいくために、それぞれの物語が希薄な印象をうけるわけですよ。ええっとですね。裏側を描くのに優れた手腕を発揮したドラマがありましてね。『木更津キャッツアイ』というドラマなんですけど、古いかな?


『木更津キャッツアイ』(きさらづキャッツアイ)は、TBS系列の金曜ドラマ枠(毎週金曜日22:00 - 22:54、JST)で2002年1月18日から3月15日まで放送された日本のテレビドラマ。脚本は宮藤官九郎。主演はV6の岡田准一。※Wikipediaから抜粋。


 野球にちなんだ表回、裏回という演出で、裏は表の早回しなんだよね。表の謎を裏で解消するというやり方。脚本の良さもあって当時は爆発的な人気を得たのです。


 映像作品と小説は違うけれど、このエッセイで度々いってますからね。です。『ドラゴンボール』という絶大な人気を誇るアニメでさえ、今までの回想や総集編は叩かれています。遅々とした物語はその感想を受け入れる覚悟が必要です。『十二国記』や『グイン・サーガ』がどれほどの人気を得ていると知っていても、一定数はいいます。「長いから読まん」と。


 今作品の良さを知られる前に、目次から嫌われる可能性があるのはそこです。今後も第一話と第一話(裏)と同様に進んでいくのなら、いつか感想で書かれるでしょう。恒例の毒吐きでもある呟きをひとつ。


 ────本編終ってから外伝にしろよ。


 これ痛いです。すごく痛い感想です。しかも中身を読まずにいっている可能性があります。群像劇ものや戦記ものを書く難しさも、ここにあります。一定数はいるジャンルのファンたちでさえも、お気に入りの人物がいてこそ読みすすめるわけです。このまま物語がすすんでいったとき、読者は武と翔真のどちらを応援し、共感していくのでしょうか。そして、どちらを主人公と思って読んでいるのでしょうか。


 こういえば分かりやすいのかな。『シャーロック・ホームズ』には相棒の『ジョン・H・ワトスン』がいます。視点はワトスンであり、語り部もワトスンである。そうはいっても主人公はホームズだ。読者はホームズの活躍をみたい。


 三国志ならばどうだろうか。反論をバッサリと切り捨てますが、主人公は『曹操そうそう』です。『曹孟徳そうもうとく』以外には考えられません。彼を中心に三国志という歴史は語られており、次代への橋渡しが上手くいった人物も彼だけです。よく混同されていますが『三国志演義さんごくしえんぎ』というのは作り話です。きちんとした書物(歴史家や考古学的に)は『諸葛亮孔明しよかつりようこうめい』が実在する証すらないとされています。それでも読者がみたいのは劉備りゆうび関羽かんうであった、弱小勢力が大活躍する物語だったわけです。だからこそ、三国志演義は有名になりました。


 ちょいと脱線しましたね。話を今作品に戻します。表の武と裏の翔真ならば、表の武の合間に裏側を描く程度でちょうど良く、二人を主人公にしたいのなら交互に描くのではなく、一定の割合、文量で区切り、公開するほうがいいと思います。思い切ったやり方としては『シリーズもの』で裏側や外伝を描くやり方ですね。Web小説としては思い切ったやり方ですけど、商業小説では当たり前のやり方です。


 漫画の『三国志』を描いた『横山光輝よこやまみつてる』さんの作品は群像劇として優れていると思いますよ。まあ、オリジナルで脚色されてはいますが、劉備を中心に描いていますので読者が何を求めていたのかを知っていたと思います。あとは以前にもエッセイで取り上げた『伝説の勇者の伝説』でしょうか。後のシリーズ作品『大伝説の勇者の伝説』がより戦記ものに近い展開となっていますね。


 どちらも複数の主人公と呼べさえする『中心人物』がいます。それらの人物でさえ、本編では止まりですからね。一度、どういう作品であり、どんな人物の物語を描きたいのか考えてみるといいのかもしれません。そして読者に感じ取ってもらいたい作風や人物を考えてみるのも楽しいですよ。今のところは序盤も序盤。表と裏を描いて五万字ならば、片方で二万五千字。まだまだ数ページですからね。


 厳しいことをいっているように思えたら、戦記もののファンの言葉だと理解してくれたら幸いです。架空戦記は大好きなんです。三国志とか大好物なんです。私が好きな三国志の人物が『姜維きようい』ということからも分かってくれるだろうと思っています。こんな私でさえ、マニアックの一歩手前ですからね。


八艘跳。(´ω`)


 そろそろコンテストの期限も残り僅か、期日が過ぎたら自作を更新していく予定。予定は未定だって? 知ってる知ってる。今後も読み続けるだろうけど、書評エッセイは時間を取られるからね。一応、今のリストで一区切りなんだぜっ!


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