『4点!』『冒険者たちの日記帳』 著者/warst

書評レベル『辛口』


タイトル

『冒険者たちの日記帳』 著者/warst


キャッチコピー

『剣と魔法の世界を生きる冒険者たちの、冒険と日常のお話』


あらすじ

『全話共通の世界観。一話読み切り形式。主人公は一話ごとに交代、同じ人も出てきます。概ね時系列順に並んでいます(外伝は除く)。毎週一話ずつ更新。』


ジャンル

ファンタジー

セルフレイティング

残酷描写有り 暴力描写有り

タグ

冒険、冒険者、剣と魔法、日常、群像劇、ファンタジー、ハイファンタジー、カクヨムオンリー

総文字数

101,626文字

公開日

2016年2月26日 10:46

最終更新日

2016年3月29日 11:20


────2016年3月30日17:40現在時点。


文章力★★☆(★×2)読みやすさ

独創性★☆☆(★×1)オリジナリティ

娯楽性★☆☆(★×1)おもしろさ


────合計☆数『4点!』


 まずは一話読み切りという思い切った作品でありながらも、世界観が共通されているお話です。それぞれの登場人物たちが織り成す、冒険という名の日常を描いた物語になっておりまして……実はこれね。とても書評しにくいのよ。まずはおさらい? 群像劇について軽く触れたいと思います。


 群像劇は二種類あります。


一)同一の世界観や舞台において、それぞれ別の人物による完全に独立した短編がいくつも同時進行している。

二)一と同じく、同一の世界観や舞台でそれぞれ別の人物による独立した複数の物語が語られるが、バラバラにみえる複数の人物のストーリーが、全体を通して知ることでひとつになり、本当の姿を現す手法のこと。


 今作品『冒険者たちの日記帳』は前者ですね。今のところという注釈がつきますけども、今以降の話で後者になる可能性を今回は切り捨てて書評していきます。


 このエッセイを読んでいるあなたは『群像劇』といわれて何を思い出しますか? 以前も例にあげた『銀河英雄伝説』か。実写映画化された『バトルロワイヤル』なのか。それとも人気爆発『バッカーノ!』でしょうか。これらはバラバラのエピソードをつむぎながらも、集結する命題テーマ目的ゴールがあります。『仮面ライダー555』なんかもそうですね。あれ、いいですよ。結末は置いておいて、群像劇という参考資料にもってこいです。


 ここは以前からの例に倣ってライトノベル作品『バッカーノ!』を取り上げましょう。原作者は成田良悟さん。電撃文庫(メディアワークス)より刊行されている累計100万部の売上を越えたシリーズもの。ドラマCD、コミック、テレビアニメ、ゲームも制作されているメディアミックスもされた、いわゆる大成功作品です。


 タイトルの『バッカーノ』はイタリア語の鹿で、数多あまたの登場人物が織り成す群像劇。シリーズを通して固定された主人公は存在せず、登場人物の数はちょっとシャレにならないほどに多い。錬金術師達が作り出したを巡るとなっています。


 おわかりになった? キーワードは『不死の酒』です。それを手にする為に、登場人物たちがスリリングに駆け回るお話になっているのです。先にあげた分類だと後者になりますね。


 対して『冒険者たちの日記帳』では一話読み切りという制約がありながらも、とてもよく出来た、もしくは小綺麗にまとまったお話になっています。読者のバックグラウンド、背景ともいいますけれど、それに依存しているところが欠点です。冒険者を知り、冒険者に思い入れがある読者ならば、とても懐かしくて面白い。ある意味でつづりになってしまっているのです。


 それに比べて『バッカーノ!』ならば、『不死の酒』を誰が手にするのか、その一点だけを目的に読者は楽しめる。登場人物たちの背景、エピソードを適度に挿入しているところも中だるみや飽きさせないためでしょうね。また、巻がすすめば巡る人物たちで色合いが変わりつつも、またもや『不死の酒』を誰が手にするのかという、一種のしています。これはので、あれほどの人気が出たと思っています。


 ということはですよ。『冒険者たちの日記帳』で、もしくはが楽しむべき場所は? となるわけです。ここが書評のしづらいところでした。またまた自作『ファジィファミリア。』を例に出しますが──ステマではない。単に迷惑がかからないからだっ! ほんとだよ?──タグに記載してありますからね。『』と。それが保険とも逃げだともいえますが、と思っていただければ成功しているのですよ。


 以前、書評させてもらった作品『だんじょん村の止まり木亭 -Start Line-』でもいいましたが、初心者に配慮がないジャンルは廃れます。私のように玄人向けなら大丈夫です。偉大な先例『fate』シリーズの奈須きのこさんがおりますからね。


 ちょいとビジネス的な話をしますが、物事が流行る過程は三段階といわれています。『イノベーター理論』をご存知ですか? あれですよ。


1、イノベーター(Innovators:革新者):冒険心にあふれ、新しいものを進んで採用する人。市場全体の2.5%。

2、アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用者):流行に敏感で、情報収集を自ら行い、判断する人。他の消費層への影響力が大きく、オピニオンリーダーとも呼ばれる。市場全体の13.5%。

3、アーリーマジョリティ(Early Majority:前期追随者):比較的慎重派な人。平均より早くに新しいものを取り入れる。ブリッジピープルとも呼ばれる。市場全体の34.0%。

4、レイトマジョリティ(Late Majority:後期追随者):比較的懐疑的な人。周囲の大多数が試している場面を見てから同じ選択をする。フォロワーズとも呼ばれる。市場全体の34.0%。

5、ラガード(Laggards:遅滞者):最も保守的な人。流行や世の中の動きに関心が薄い。イノベーションが伝統になるまで採用しない。伝統主義者とも訳される。市場全体の16.0%。


※参考サイト『日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net』より抜粋。


 イノベーター(Innovators:革新者)とアーリーアダプター(Early Adopters:初期採用者)は『オタク』や『コアユーザー』とも呼ばれています。その方々が移動する、購買する、楽しいというのを見聞きして、アーリーマジョリティ(Early Majority:前期追随者)という『ファン』や『ヘビーユーザー』が追従します。その頃には右肩上がりの成長、評価がされ始めている段階になりますね。私のエッセイでいえば『玄人』たち。

 そうした状況、状態を知り、客観的に見聞きしたあとにレイトマジョリティ(Late Majority:後期追随者)がやってきます。それが『ライトユーザー』になり、ここで爆発。いわゆるメディアミックスがされているような状況になりますかね。過渡期ともいいます。アニメ化や漫画家、映画化などがそれにあたるでしょう。そうして最後にラガード(Laggards:遅滞者)『批評家』や『マスメディア』がやってくるのです。こうなると『オワコン』です。※おわコン、終わコン、終わったコンテンツともいいます。


 いかかでしょうか? 私のいう素人や初心者は『ライトユーザー』にあたります。自分の作品がどの層の、どの年齢の方々に向けた作品であり、作風なのか考えてみると描くべき命題がみつかるかもしれません。人物の台詞ひとつでも、話し方の癖などがそれにあたるでしょう。私の自作ですけど(またです)ね、異世界に始めてやってきた集落で出会う最初の男の台詞を一部抜粋してみましょう。


「おうおう。そこのお二人さん。他所よそもんだろ? 最近じゃ使えるのさ。エルダーコインはな」


 どうですか? やや時代を感じる話し方ではないでしょうか。以前にもいった十代後半からうえ、さらに一部の読者を想定した作品ですからね。この手の話し方をする違和感も薄いと思います。しかも、作品の目的がハッキリしているので、最終的にはどうなるか、読者は安心して読めると思っています。『バッカーノ!』もそうです。『不死の酒』をどうするのか。それに尽きる。それがないため、とても書評しづらいというわけでした。でもですね。追っかけていたりする私もいます。だって、古典の冒険者とか好物ですから。さてさて。最後の最後に呟きますね。


 ────どこで評価していいか分からん。


八艘跳。(´ω`)


 今日は歯医者に行ってましたので、読む速度が遅いのです。次回は明日になると思われます。それではまた次回。アデュー。


次回の書評。入れ忘れてた……すみません。

『uNeTeRNaL』 著者/千秋亭楽市

Twitter 2016年03月30日21:00 呟いた時間ですね。




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