『3点!』『地上に眠る蒼穹~Celeste Blue~』 著者/西崎仁

書評レベル『辛口~中辛』


タイトル

『地上に眠る蒼穹~Celeste Blue~』 著者/西崎仁


キャッチコピー

『遙かなる地上で出逢ったのは、至高の耀きを放つ無辺の蒼穹――』


あらすじ

『 地上――それは、かつて人類が繁栄を誇った〈失われし世界〉。

 環境破壊が進み、地上を追われた人々は、やがて、コンピュータにより管理された巨大地下帝国メガロポリスを築き上げる。

 地上唯一の都市旧世界(ガイア)は、ドームで覆われ、《メガロポリス》の管理下に置かれた、罪人の流刑地、あるいはアウトローたちの集まる犯罪最多発地区として地下の一般居住区とは隔絶されていた。


 新米新聞記者の新見翼は、その《旧世界》で、社会から逸脱し、退廃的生活を享楽する若者たちを取材するため、相棒のカメラマン、レオとともにスラム街を訪れ、ひとりの少年と出逢う。

 覇権を巡り、日夜熾烈なグループ抗争が繰り広げられるスラムで、名実ともに非行少年たちの頂点に君臨する至高の存在――《セレスト・ブルー》のルシファー。

 繰り返される抗争の中で、ルシファーが真に敵とし、打倒を目論んだのは、絢爛たる栄光と栄華に彩られ、世界に冠すると謳われる巨大企業『グレンフォード財閥』だった。

 目映い脚光を浴びる華やかな舞台裏で、人類の王座に就く一族が欲したもの。それは、〈神〉への挑戦だった。


 ルシファーとの出逢いは、やがて、翼の運命を大きく変えていく――


※ なお、作中にて未成年者の飲酒・喫煙に関する描写がありますが、本作は法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。

ご理解の上、あらかじめご了承ください。』


ジャンル

SF

セルフレイティング

暴力描写有り

タグ

群像劇、スラム、グループ抗争、友情、遺伝子改良、楽園計画、特殊部隊、ハードアクション

総文字数

280,233文字

公開日

2016年2月25日 22:22

最終更新日

2016年3月27日 20:00


────2016年3月28日14:42現在時点。


文章力★☆☆(★×1)読みやすさ

独創性★☆☆(★×1)オリジナリティ

娯楽性★☆☆(★×1)おもしろさ


────合計☆数『3点!』


 とあるレビューに『こんな作品も書くのか?』とありましたので、普段は違う作風なのでしょう。一応、カクヨム内の別作品も確認しましたけれど、そこまでの差は見つからなかった。細かい違和感が積み重なり、第二章でギブアップ。これから物語が動いていくことが予見されているのですが、この先も読み続けたいという気持ちにならなかった。


 三人称多元視点。美麗な男の様子を描くプロローグから始まります。新米記者である新見翼にいみつばさが地上へ赴くことが一話目で語られます。散見されるのはSF的なガジョット。地下から地上へ。その先にみた光景は殺戮であった。暴力がルールの場に躍り出てしまった翼がみたモノは──セラスト・ブルー、名は『ルシファー』──少年たちの頂点に立つ美麗な男であった。その出逢いと興奮を忘れられなかった翼は追いかける。相棒のカメラマン『レオ』と探り当てたのは巨大企業『グレンフォード財閥』の闇。真の敵は? ルシファーとは? その出逢いは翼の運命を大きくかえ────『神』への挑戦となる。


 こんなところでしょうか。実は今回。内容ではないのですよ。文章に躓いた私がいます。まずですね。。サンプルとして一話目と二話目を取り上げます。


第一章の(1)

※一話目 地の文/台詞

総文字数 『1326/40』字数。

かな:カナ:漢字『43:09: 35/65:00: 25』割合。

平均文長『51.0/20.0』

平均句読点間隔 『17.2/13.3』


第一章の(2)

※二話目 地の文/台詞

総文字数『1542/1245』字数。

かな:カナ:漢字『46: 7: 35/ 60: 4: 20』割合。

平均文長『44.1/ 20.1』

平均句読点間隔『15.9/9.8』


 私の一話目と二話目で比較してみます。


其の壱 出逢い

※一話目 地の文/台詞

総文字数 『2014/1943』字数。

かな:カナ:漢字『58: 3: 26/ 58: 4: 17』割合。

平均文長『17.1/ 10.9』

平均句読点間隔 『11.8/9.2』


其の弐 右腕品評会

※二話目 地の文/台詞

総文字数『2492/1717』字数。

かな:カナ:漢字『55: 7: 27/ 59: 5: 18』割合。

平均文長『24.9/ 13.6』

平均句読点間隔『15.4/10.2』


※参考サイト『小説形態素解析CGI(β)』を利用しています。一部を抜粋。省略箇所が気になる方はご自身で調べてみてください。他の項目もあります。


 総文字数は気にしないでください。ここはに着目してください。私の一文は長くても『25文字』程度。今作品は『50文字』程度。それなのにのです。それで何がわかるかといいますと、今作品は。一文の長さに比例して読点をいれているので、読みながらリズムが狂う。また、ジャンルの違いもありますけど、漢字がひらいていない。実際に読む読者はさらに字数を読んでいることになります。そうしたリズム、息づかいが乱れることを『トーンが一定ではない』『文章が冗長である』といいます。なるべくは句点を使って、『30文字以内』に収めるといいでしょう。書籍の一行なら『40文字』程度ですかね。


 文字数には理由があります。書籍という媒体。Web小説という媒体。折り返す箇所が、文字数が違いますからね。また、縦書きと横書き、どちらでもリズムが変わります。正解はないのですが、文章のリズムを狂わせない手法として用いられるのがです。10文字以上30文字以内であれば、どの媒体になっても一行で収まることが多い。私の場合はそこを意識しています。50文字も句点がないと、読者はてしまい、危険性があります。それは作者の意図していないを生みます。気をつけてください。読者は全知全能ではありません。背伸びした小学生かもしれないのですよ?


 自作の対象読者、対象年齢を想定しておきましょう。私の自作ばかりで悪いのですが、とある一文に『ひどくな』という表現があります。この『冒涜的ぼうとくてき』という言葉は『クトゥルフ神話』というジャンルのお約束です。対象年齢は十代の後半からうえであり、ほぼほぼ大人が読むことを想定しています。やや難解な漢字を少量だけ織り交ぜているので、どこか読みやすく、されど読みにくい。そんな文章になっています。


 そして段落、パラグラフともいいますけどね。その点を意識してはいかがでしょうか。SFモノはどこかで説明過多、難解なガジェットが登場することが多く、やはり初心者には嫌煙されがちです。幸いにして今作品(第二章まで)は、SFの難解さが出ていなかった。それでも読者配慮という、文章のリズム、文体をおざなりにしてしまったのではないでしょうか。私の読書リズムとは合わなかった。読点の数が小さい躓きとなり、盛大に転んでしまう結果へと繋がってしまったのでした。もし、今作品がSFモノの文体や文章に多い表現をされていたのなら、私とSFが合わなかったということでしょうね。残念です。


 そんなわけで内容を深く読めなかった結果、点数が辛くなってしまった。いち読者としては好き嫌いで切り捨てることもできたのですが、いち企画者として、文章の長さや読みやすさについて触れました。難解なことを描くときほど、簡潔な文章で表現されていたほうが読者は食いつきます。だって、分かりやすいから。


 今回は長かった。三千字近く書いている。いや越えた? 文章は細部に宿るともいいますから、作者の作風を壊すようなことは言いたくなかった……。それでも、読者が読みやすいと思うのは『30字程度』でも長いんですよ。こればかりは仕方ない。どうなさるかはお任せしますね。あなたの作品の良さを知り、あなたの文章を磨き上げてください。最後の最後で呟くよ。


 ────すまぬ。読めなかった。すまぬ。


八艘跳。(´ω`)


 次回の書評は一覧を参照してくださいね。挨拶のあとにいれているのさ。気づかなかった? 気づいてよぅ。それではまた次回。アデュー。


次回の書評を追記。

『バベルの海』 著者/カイナ

Twitter 2016年03月28日17:30 読むよぅ。


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