○sora(開発元:橙汁)

 人類は最終局面にあった。

 終わり無い戦争をもうずっと繰り返している。何時の間にやら空は灰色に覆われ、大地は荒廃し、誰の目から見ても地球はもうダメだった。

 それでも戦争を終わらせる事は出来なかった。それぞれに背負う物があるから。


 ソラはかつての青い空を取り戻す事を願っている普通の少女。この時代の通例として、少女は兵器として改造される。

 空を飛び、銃を撃ち、敵を滅ぼす最終兵器。それがソラ。


 ソラはある時気付く。「戦争を終わらせなきゃ」。

 味方を裏切り、戦争を終わらせる為に戦う。青い空を取り戻す為に戦う。



 同人サークル・橙汁おれんじじゅーす様が開発したシューティングゲームである。シューティングの範疇に収めて良いのか難しい所はあるが。

 爽快なゲーム性、心躍る音楽などは当然のように優れているが、ここではシナリオとキャラクターについて触れる。ゲーム談義ではないので。


 主題になっているのは戦争なので、基本的には暗い。各ステージのボス達も、戦争をしたくてしている訳ではないが、お互いもう引けない状況で、悲壮感すらある。

 何より悲惨なのは、それを全て撃破して戦争を終わらせようとするソラ自身だ。最強の最終兵器であっても、心は少女。自分の判断が正しいのか、悩みながらも自分の道を貫いていく。また、自分の判断によって発生する負の側面(他人の思いを時には踏みにじって進まなければならない、更に人死にが出てしまう可能性など)をも受け入れなければならない。少女には過酷だ。


 そして辿り着く最終ステージは、胸に迫る物がある。そしてそれが終わった後の展開。是非見て欲しい。絶対見て欲しい。


 他のキャラクターにも思い入れがある。各ステージのボスは、戦闘前に少し会話する程度で、詳細は分からない。が、十分示唆できる程の情報が含まれている。彼女らも、戦争を終わらせようと必死なのだ。

 善も悪もなく、ただ戦争する。それを終わらせようとする。その方法論の違いが、戦争を生む。何とも冷たい世界である。


 絵柄は大変可愛らしいだけあって、骨太な物語とのギャップが著しい。いや、絵柄まで重かったら救われないかも知れないが。


 

 その後の作品、格闘STG「アクセラレーション・オブ・スグリ」シリーズで救済されているのが本当に救われた。あぁ、幸せになったんだねぇと。笑えてるんだねぇと。

 

 私はどうにも、こういう話が好きだ。なので、ソラへの感情移入は半端ない。



 この前作「スグリ」も名作。機会があれば是非。

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