○封仙娘娘追宝録(ろくごまるに)

 ひよっこ仙人・和穂はとあるミスで欠陥宝具726個を人間界にばらまいてしまう。

宝具とは仙人の叡智の結晶、奇跡を起こす道具である。和穂の師匠・龍華は欠陥宝具を作っては封印していた。その数727個。

 その事によって人間界の混乱は必至。だが仙人は人間界に干渉してはいけない。

和穂は自らの責任を果たす為、ただの人間になって人間界に降りる。たった一つ残った欠陥宝具、『心優しい武器の宝具・殷雷』と共に。


 1巻からのファンである。最終巻が出ないかとハラハラしたが、無事完結して良かった良かった。


 ファンタジーの中でも珍しい、中華系のファンタジーである。仙人だから道教かな。ファンタジーと言えば剣!魔法!冒険者!というのがメジャーだが、基本的に棍(正確に言えば金昆と書くべきなんだろうか)を使う刀の宝具のみという。そして相手は様々な道具の宝具。それを和穂の知恵と機転で乗り切る。

 宝具は「道具の業」によって、「必要な人の所」に辿り着く。病気を治したいと思っている人の所へは病気が治る符が、戦いたいと思っている人の所には武器や兵器の宝具が。



 人物もさることながら、会話のセンス、展開の読め無さ、そしてどんでん返し。最後のページまで目が離せない。また、独特の概念、世界観、哲学はやはり面白い。私の体の中にもかなり浸透している。

 戦闘は必ずしも力押しではない。突然何か新しい力に目覚める事もない。非情である。そこを機転で切り抜けていく。それがまた爽快である。


 お気に入りの話は短編集に収録されている「夢の涯」。私がこれまで読んだ全ての小説の中でも、屈指の名作。一巻を読んで、これだけでも読んで欲しい。それくらい好き。中身は内緒。


 電子書籍化の話、何とか進んでくれればいいなぁ。私は本で全巻持ってますが。

食前絶後も持ってます。桐咲キセキの奇跡の続きはまだですか、先生。

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