死なない魔王様

@Time-stoper

死なない能力

 ああ、どうしよう。何かを壊したくてたまらない。何かを殺したくてたまらない。でもどうしよう。この衝動すら壊したくなってきた――



―――――――




 俺は、直江 症なおえ しょう。つい先ほどまで高校生だった。なぜ過去形なのか、それはたった今、クラス全員で勇者として召喚されたからである。


「皆さん、怖がる必要はありません。恐れる必要はありません。ただ、この国の魔王を倒す戦力となっていただきたいのです。」


 そう俺たちに召喚した国の王は言った。もちろん、反論する者もいたが、きっぱりと王は『君たちをもとの世界へと返す方法はない』と言い、それならばやるしか無いと、皆はいきり立った。そしてその中に俺もまざっていた。この時はまだ。



 それからステータスの確認をした。この世界ではステータスが自分だけに見え、あたかもRPGの様なステータスバーが見えるのである。その要素は体力、魔力、力、魔攻、魔防である。体力は自身の生命を示しており、これがゼロになると、たちまち生命がついえてしまう。魔力は体に宿る魔法を使用するためのエネルギーの量を示していて、これがあればあるほど、強力な魔法が使える。力はありとあらゆる身体能力値であり、これには、攻撃力、防御力、筋力、視力、速力などがあげられる。魔攻、魔防については、魔法を使用した時の攻撃力と、魔法を受けた時の耐性である。その他にもステータスには、固有能力やスキル、加護、称号がある。


 周りのクラスのみんなが、ステータスを見て、ガッツポーズしているのを横目に見ながら俺もステータスを開く。

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体力:

魔力:320

筋力:25

魔攻:400

魔防:150


能力:永命無死アンノウンデットオアライブ


スキル:闇魔法LV5 火魔法LV4 風魔法LV4 土魔法LV4


加護:魔神の加護


称号:不死神 

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 ステータスバーの項目を押すと、詳細が出てきた。

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永命無死アンノウンデットオアライブ

 死なない能力。不死身になるが、寿命では死ぬ。

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 不・・・死?良かった。この能力は使える。しかも、魔法の攻撃力も強い。


 ステータスの確認が終わったところで、ステータスの内容を報告した。俺”も”能力の強さに驚かれたが、それ以上に驚きの声が上がった人物がいた。それは黄木 夏田おうき なった、クラスの中心人物であり、人気者であるイケメンであった。夏田の能力は『下位無双』アンダーキラー、相手の筋力と魔攻が1000以下の場合、それらから放たれた攻撃の一切いっさいを無効化し、自身が筋力と魔防が1000以下の相手に攻撃する場合、相手の一切の防御力を無視して攻撃すると言う能力であった。


 それは・・・と、俺が言いかけたところで止めた。皆が喜んでいる横から無粋な真似をしたくなかったからだ。



 それから俺ら転生者一人一人に部屋が与えられ、部屋に移動した。部屋は二十畳ぐらいの部屋で、煌びやかな装飾がされていた。


 そして此処で俺の生活が始まった。


_______________



 そして、異世界への召喚から一カ月が過ぎた。




 それは唐突だった。




 俺の部屋に黄木がやって来て、いきなり俺の首をねたのだ。

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