#4#5ジョバンニの想い

#4楽屋裏

ジョバンニ「……っ」

(効果音:台本を破り捨てる音)


#5楽屋(台本読み)

ベンジャミン「ヴァルトスの女王、無理心中説は反対だわ。陰惨、憂鬱、幻滅よ。大体なぜこの二人が死ななくてはいけないの?」

ジョバンニ「悲劇だからだよ。純粋な、悲劇」

ベンジャミン「史実にこだわりすぎて、観客を惹きつけるものがないんじゃない? あなた本当にジョバンニ?」

ジョバンニ「奇をてらってもしょうがない。これは歴史の中で実際に起こった話なんだ」

ベンジャミン「歴史はロザリウムが勝利した。その時に囚われの王子が死なねばならず、女王まで後を追うように死んだのはなぜ?」

ジョバンニ「戦争のむごたらしさ、裏切り、業の深い女王の横恋慕」

ベンジャミン「それじゃあ、なぜ王子は四年もの間、だまって女王のもとにいたの? そこよ」

ジョバンニ「それは謎なんだ」

ベンジャミン「これから公演しようっていうのに、意味も結果もわかりませんじゃお話にならないじゃない」

ジョバンニ「まてよ、女王にいいなずけがいたとして、けれど女王は王子が気になっていた。敵国の王子だから捕まえたんじゃないとしたら……やっぱり愛してたんだろう。王子が受け入れたかはわからない。その理由はやっぱりいいなずけがいたからだ……」

ベンジャミン「……その調子だわ。エフィメラがお茶を淹れてくれてるから、一休みしましょう?」

ジョバンニ「いや、もう少しでわかりそうなんだ。何か見えてきそうな……そうだ、王子は政略的に婚約してたんだ。そうすると……本当は王女を愛してはいなかった!?」

ベンジャミン「なにか突き抜けたみたいね」

(フェードアウト)

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