#4囚われのエフィメラ
#4ヴァルトス城・謁見の間
音声:「乱れた足音。女が連れてこられる」
エフィメラ「離してよ!」
フォーンス王「これは威勢がいいな……(つぶやくように)」
エフィメラ「一体、このあたしに何させようっていうの! ええ? この王様!(強制連行に憤って口が悪くなっている)」
フォーンス王「いかにも王だが」
エフィメラ「あんたがか……(にらむ)はっ! 王様が何のようなの。いきなりかどわかしてきて」
フォーンス王「おまえ……いつもそのように猛々(たけだけ)しいのか?」
エフィメラ「お育ちが違うんでね。こっちは人気商売。舞台に穴空けるわけにいかないの。さっさと劇座にもどして欲しいわ!」
フォーンス王「申し訳ないが、いや……申し開きをするまでもないが。おまえは旅の途中で落馬し、死んだ。夢のような暮らしをさせてやる。わたしと来い」
音声:「鈴の音」(衝撃を表す)
エフィメラ「なんですって……! そんなの、許さない!」
フォーンス王「おまえが許さずとも、わたしの後宮には空きがあるのでな」
音声:「貨幣を投げやる音」
フォーンス王「どうだ……?」
エフィメラ「はっ! あんたの御印(おしるし)は結構よ。だれが、あんたのものになるの? そのへんの小鹿ちゃんではないのよ? あたしは」
フォーンス王「悪いが、狼娘のままにしておくのは惜しい。鎖につないで、籠(かご)にこめてもそばに置きたい」
エフィメラ「そういう趣味か(青ざめて)」
フォーンス王「顔がな(傲岸に)」
エフィメラ「顔……? はん!」
フォーンス王「ルシフィンダ……(ささやくように)」
エフィメラ「なにっ?」
フォーンス王「なんでもない。湯浴(ゆあ)みをして、着替えるがよい。部屋はわたしのもとへ」
音声:「衣擦れの音。小さくなっていく」(王の退室を表す)
エフィメラ「(暴れて)もう、離してよ! だれがゆあみなんてするもんですかー!」
音声:「フェードアウト」(場面転換を表す)
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